第25話 足りない!
「えっと、なんかいつものように本を読んだら使えるようになりました?」
「はぁ、またかい。タイチ君、渡り人とは一体何者なんだい?」
「えっと、そう言われましても。僕にもわからないです」
はあ、という感じで二人がため息をつく。
「まあいいか。村長、それより早く解体しないと血が回っちまうぞ」
「ああ、そうだな」
そう言って二人でワイルドボアを解体していった。
「ふう、これで全部終わったかな」
「ああ、タイチ君のおかげでだいぶ助かったよ」
「いえ、とりあえずこれで当面の肉の確保は出来ましたね。村長さん、この肉の保存方法って村にあります?」
「ああ、まあ二、三日は焼いて食う。そこから先までもたせようとすると、干し肉作りだな」
「干し肉ですか、そっか。じゃあ今日戻ったらおいしい干し肉の作り方を聞いてきます!」
「いやいや、タイチ君。もっと有効なことに使ってもらいたいんだが」
「村長! おいしいものを食べるのに妥協してはいけません! これは僕がやりたい事なんですから!」
「あ、ああ、まあそうだね? え? そうかな?」
「あははははは、まあいいじゃねえか、村長。タイチの思うとおりにやってもらやあいいじゃねえか」
「ああ、まあそうだな」
村に戻るとすでに夕方。
いつものように狩った魔物はその日に食べるスタイルで、夕食をごちそうになった。
ちなみにワイルドボアのステーキだった。
しかし足りない。
毎回思うが、やっぱり足りない!
なぜ塩味が足りないの?!
せっかくアリアさんがものすごくいい感じで焼いてくれてるのに!!
「村長さん、塩ってやっぱり貴重なんですか?」
「そうだね、海から遠いし、岩塩なんてないからね」
「ふむ、じゃあ明日は塩を探しに行きましょう」
「は? タイチ、何を言っているんだ?」
「その前にスキルを使って相談しますけどね。あ、そうだ!! 塩だけじゃなく香辛料やハーブについても確認してきます!!」
「こ、こうしん? はーぶ?」
「はい、料理にはいろんな材料が必要です。明日はみんなで森に行ってみましょう!」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。俺も行くのか?」
「もちろんです! ロイさん、香辛料やハーブを見つけたら持ち帰って畑で育てますよ! これは村の貴重な収入減になるかもしれないですから!」
「お、おう?!」
「今までの干し肉の作り方を教えてもらっても?」
「ああ、水害前までは商人も来ていたから定期的に塩を手に入れていたからね。とれた赤身の肉に塩をまぶして一日、塩を洗い流して水気を切って風通しの良い場所で日陰につるして数日、といったところかな」
「なるほど、ありがとうございます。参考にしますね」
よし!
美味しい干し肉を作っていつでも食べられるようにするぞ!!
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