第24話 狩り
翌朝、朝ごはんを終えた僕は村の西に広がる森の中へとやってきた。
昨日の晩に村にいる猟師の人たちを集めて、今日の狩りで注意すべき点などをレクチャーしてもらった。
まずは村に近いところに行ってみる。
ここはよく猪や鹿が出るらしく、罠を仕掛けているらしい。
しかし、最近はめっきり数が減ったようで、今ではあまり効果がないそうだ。
次にもっと村から離れたところ。
ここは熊や狼などの大型の獣が出没するそうだ。
こちらも昔はよく出没したそうだが、ここ最近は全く見かけないそうだ。
「うーん、熊はともかく狼が出てこないのはおかしいな」
「ああ、俺もそう思う。しかし、それでこっちは助かっているから文句も言えんがね」
村長さんとロイさんが話しているけど、狼も出ないということはおかしいらしい。
道すがら二人に魔獣や獣について聞いてみる。
魔獣と獣の違いは体内に魔石があるかどうかということだけど、魔獣の方が強いことが多い。だけどなぜか獣を襲わないなんてこともあるそうだ。
そんなことを聞きながら、森の中を歩いていると遠くの方で何か大きなものが動く気配を感じた。
しばらくすると、ガサガサと草むらが揺れる。
グルルルルルル!
よだれをたらしながら現れたのは大きな牙を持ったイノシシだった。
「あれはワイルドボアだね。ランクDの魔物だ」
村長が教えてくれる。
「へえ、そうなんだ。あ、僕が一人でやってみていいですか?」
「大丈夫なのかい? 相手はランクD相当だよ?」
「はい、大丈夫です。それじゃあやってみますね」
僕は剣を抜いて構えると、こちらに突進してくるワイルドボアを迎え撃つ。
ブモオオォ!
ドンッ!
「おっと!速い!」
ドゴッ!
「ぐっ!」
突っ込んできたワイルドボアをなんとかよけるが、勢いを殺すことが出来ずにかすってしまい、そのまま吹き飛ばされてしまう。
「いてて。でも、思ったほどじゃないな」
起き上がった僕を見て、再び向かってくるワイルドボアだったが、今度は横に除け呪文を唱える。
『我が剣よ、空気を纏い刃となり、力となれ!』
シュン! ザン!
僕の持つ剣の周りに風が集まり、風の刃となって飛んでいく。
ズバッ!!
ブオオッ!?
ワイルドボアは避けることも出来ず、首元を切りつけられ血を吹き出し倒れていく。
その様子を見ながら村長さんが驚いている。
ロイさんも目を見開いて固まっていた。
え?
だってルークが魔獣が現れたらこの本を使えっていうからさあ!!
で、なんで二人とも固まってんの?
「「タイチ」君」
「はい?」
「それ、イビルディアの魔法だよ? なんで人間が使えるのさ?!」
えええええ?!
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