第21話 スキルレベルを上げる方法

「ねえルーク」

「はい、何でございましょう、タイチ様」


「水と食料のめどは立ってきたんだけど、まだ問題があるのかな?」

「はい、タイチ様。栄養の面から考えますと動物性のたんぱく質が不足しているように思います」

「ああ、そうか、魔物倒した時にしか肉が食えないのか。うーん、じゃあどうしよう?」


「さようでございますね。さしあたり魔獣を討伐することも重要でしょうが、村の中で飼える魔獣も必要かと存じます」

「え? 飼えるの? 魔獣を?」


「はい、魔獣には様々な者がおりますゆえ、可能でございます。ゆくゆくは検討される必要があろうかと思います。ただ、現状村の外は非常に危険な状態でございますので」

「そうだよねえ、捕まえて帰って来るって難しいよね。じゃあ当面は僕が村の外の安全を確保していくってことになるのかな?」


「さすがタイチ様、ご明察でございます。もう一つ申し上げますと、タイチ様の不在時、村の防御力が極端に落ちてしまうのも問題でございます」


「本当に問題が山積みだね。どこから手を付けていいのか」

「今の所、村の防御力を上げる算段と魔獣討伐のための戦力増強でございましょうな」


「そっか。ありがとう、ルーク」


「いえ。それではそちらに関する本を選定してまいりますので、しばらくお待ちくださいませ」

「うん、よろしく」

 そう言って、鹿の角を被った老執事ルークは本を探しに行ってくれた。


 本当に頼りになるな、ルークさん。


「あ、そう言えばさ、ルーク」

「はい、なんでございましょう?」


「探しながらでいいんだけど少し、聞きたいことがあってね。この図書券スキルってどうやったらレベルが上がるの?」

 あれ? 返事がない。

 まあ本を探してる時に聞かなくても戻ってからでいいかと思っているとルークが戻ってきた。


「失礼をいたしました、タイチ様」

「いや、本を探してるのに声をかけちゃってごめん」


「図書券スキルのレベルアップについてでございますが。いくつかの手段が存在いたします。簡単にご説明申し上げますと、読書量の増加、ジャンルの拡大、メモや感想の書き込み、質の高い本の購入、といったところでございます」


「いろいろあるんだね。読書量の増加はとにかく読めば良さそう。ジャンルの拡大っていうのは今やってることか、いろんな問題があるもんね。メモや感想を書き込む? え、書きこんじゃっていいの? できないよお」

「タイチ様、本に書き込まなくても結構です。何か別の物に書いてこちらに来られるときにお渡しいただければよろしいかと」


「うーん、でも村には紙も書く道具もなかったなあ。ここは今は置いておくしかないか。で、質の高い本の購入、これはルークが選んでくれる本っていうことでいいんだよね?」

「はい、基本的には私が選ぶ本でかまいません。しかし、私が選んだ本がお気に召さなければタイチ様自ら選ばれることもやぶさかではございません」


「うーん、僕は今のままルークが選んでくれたらそれでいいけど」

「ありがとうございます」


「あ、じゃあ、今回は村の防御力向上と戦闘力の向上だね」

「はい、そちらになっております。それではまた、二日後にお待ち申し上げております」

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