第22話 肉を食いたい(意訳)
さて、それじゃあ村の防御力向上を検討していこう。
村長さんとロイさんを呼んで話し合うことにする。
「まずは魔獣対策ですね。今のところは大丈夫ですか?」
「ああ、タイチ君のおかげでなんとかなっている。しかし、村の柵ぐらいでは今回のオークやオーガなどが多く現れると魔獣の攻撃には耐えられんな」
「村のみんなも強くはないですしね。なので村の防備を固めようと思うのですが」
「そうだな。それが一番だろう。しかし、具体的にどうすれば良いのか皆目見当もつかん」
「はい、そこで今回の本からの知識なんですが、堀と塀を作ろうと思います」
「タイチ、そりゃあ考えたけどよ、人手が足りないんだ」
「大丈夫です。今回の本に土魔法がありますから!」
「おお! そうか、そういう手があったか! それならいけるかもしらんな」
「ええ、村の周りに溝を掘ってその土を塀作りに流用します。ほかの人たちも協力してくれれば、作業もはかどると思いますよ」
「なるほど、土魔法で効率的に防備を固めるという手があるんだな。タイチ君、君は本当に頼りになるな」
「ありがとうございます、村長さん。では、早速計画を進めていきましょう!」
「この辺りから始めましょうか。じゃ、行きますよ」
「おう、頼んだぞ」
「はい、それじゃ、『我が意を汲むものたちよ、我の声に従い集え』」
僕が呪文を唱えると地面に直径一メートル深さ5メートルほどの穴が開いていき、掘られた土が内側に土塁として積み上げられていく。
「とりあえず作ってみますので、土魔法が使える方は他の場所でやってみてください」
そう言うとアリアさんを中心に何人かが僕の作った穴と同じように村の周りに作っていく。
そして、同じように土を盛り上げたり、掘り下げたりする。
「それでは村長さん、ロイさん、他の皆さんもどんどんやりましょう」
それから日が暮れるまでに村人全員で堀を作った。
出来上がったものは、幅三メートルの堀、高さ二メートルの塀という感じだ。
「うん、これくらいあれば十分でしょう」
「よし、これで明日からも安心して寝られるってもんだ」
「ああ、本当に助かったぜ」
みんな口々に感謝の言葉を口にしてくれる。
「さて、とりあえずの防御は出来たけど、ここからですね」
「ここからとは?」
「えっと、あとは村の食糧、とりわけ動物性のたんぱく質不足の解消ですかね」
「なん? 動物せいの? なんだって?」
「ああ、簡単に言うと肉や魚を食べないと元気が出ないってことです」
「おお! タイチ! わかってんじゃねえか!」
「ロイさん、水害の前まではどのあたりで狩りを行っていたんですか?」
「ああ、西の森の少し奥に入って行って鹿とか兎を捕まえていたんだ」
「結構深い森なんだが入口辺りで野生の動物は狩れていたんだ。でも、あの氾濫で森がダメになって獲物がいなくなってね」
「ありがとうございます、村長さん。それで、今狩りはどんな状況になっているんですか?」
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