第15話 田んぼも作る
アリアさんは戸惑いながらもやって見せてくれた。
すると、なんということでしょう!
たった一回説明しただけなのに、綺麗に畑が出来上がっています!!
心の中で某リフォーム番組のナレーション風に叫んでいた。
「素晴らしい!!」
ってなんでロイさんが叫んでんの?
「え? ロイさん?」
「あ、ああ、すまない。まさか土魔法にこんな使い方があるなんて思ってもみなかった!!」
ああ、そういうことか。
「アニメとかでよくやってますから」
「ん? あにめ?」
「ああ、なんでもいありません。ではこの要領でこの区画に畝を作っていってもらえますか? ロイさん、お願いできます? で、それが終わったらこの種を植えてください。」
「ああ、もちろんだ! 村で土魔法を使える奴を全員集める! こりゃあ楽しみになってきたぜ! ん? 種? なんだこの種? ま、いっか、いってくらあ!」
といって走っていってしまった。
「ふふふ、ロイさんもなんとかしたいと思ってたんでしょうね」
「ああ、うん。いい人なんですね、ロイさん」
「はい。ロイさんだけじゃないです。村のみんな、いい人ですよ」
あとにっこり笑ってくれた。
やっぱりアリアさんは笑ってる方が可愛いな。
「さて、じゃあ僕たちは沈殿槽から泥をかき出して田んぼを作っていきましょう。アリアさん、まだ土魔法は使えますか?」
「あ、はい、この程度でしたらまだ全然大丈夫です」
僕的にはこっちが本命。
なにせ米が食えるんだもの。でっかいけど。
ま、なによりも米が食べられるのに植えないという選択肢はない!
ということでアリアさんに村の西側の川と連結した取水槽付近に四角い穴を掘ってもらった。
そこに沈殿池、沈殿槽から取り出した粘土質の泥を入れていく。
きちんと本で確認しながら土づくりを行う。
村では田んぼ自体が初めての試みのため、本に頼るしかなかったがなんとか形になりそうだ。
村の役に立てるのはうれしい。
だけど、この村にはまだまだ課題が山積みだ。
明日になれば『アンティーク・ノート』に行けるはずだ。
そう言えば、図書券って『アンティーク・ノート』の本を買うためのスキルだけど、僕のスキルって他には何があるんだろう?
「アリアさん、ちょっと気になるんですけど、皆さんのスキルってどういったものがあるんでしょう?」
「え? ああ、私たちのスキルは珍しいものではありませんよ」
「アリアさんのスキルを教えてもらっても?」
「ええ、もちろんです。私のスキルは料理なんです」
「料理!! すごいじゃないですか!」
「いえ、でも今は食べるものすらあまりない状況ですのでこのスキルを役立てる機会はあまりありません」
「アリアさん! 野菜やお米をいっぱい作っておいしいものを食べさせてくださいね!」
「はい! よろこんで!」と二人で笑いあったのだった。
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