第7話 書店『アンティーク・ノート』
「本日はどのような本をお探しでございますか?」
「えっと、あの、すみません。ちょっと理解できないというかなんと言うか」
「ああ、かまいませんとも。まずはお客様のお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「あ、はい。タイチと言います」
「ありがとうございます。私はタイチ様のお悩みの解決をお手伝いさせていただくために存在します、ルーク、と申します。」
そう言うと鹿の角を被った紳士は一礼する。
「えっと、ルークさん?」
「ルーク。とお呼びくださいませ」
「あ、ああ。えっと、ルークさ」
「はい、タイチ様。」
言わさない気か。
諦めるしかないのか。
「えっと、ルーク。ここは? どこですか?」
「ここはタイチ様のスキル、図書券を使う場所、でございます」
「ん? あ、そっか、さっき書店って言ってたもんね」
「さようでございます。こちらにある本はすべてタイチ様のために準備された図書になります。お申し付けいただければ私がチョイスし、ご提供させていただきます」
「なるほどおおおおお! じゃあ、元の世界に帰る方法とか」
「申し訳ございません。スキルレベルの関係で転移関連の本は現在ご利用いただけない状態となっております」
「そうだよねえ。そんな都合よくは行かないよねえ。じゃあ、ナーバル村のみんなが困っている問題を解決したいんだけど」
「タイチ様」
「は、はい」
「ナーバル村の困りごとは複数ございます。どの問題を解決なさりたいので?」
「あ、食べ物のことだけじゃないのか。でも、差し当たって食べるものがないとみんな困るよね?」
「さようでございますね。ではまずは食糧・水源問題の解決などはいかがでしょう?」
「うん、じゃあそれをお願いします」
承知いたしました、と一礼すると店の奥に消えていくルークさん。
まさか図書券てこんなスキルだったとはなあ。
数分後、ルークが二冊の本を持って現れる。
「タイチ様、こちらがナーバル村の食糧・水源問題解決のための図書でございます。ご確認くださいませ」
「ありがとう、ルーク。何が書いてあるんだろう」
本を開き、ページをめくっていく。
「ああ、これは。そっか、水源問題はこれで、あ、そっか、これで食料もなんとかなるかな。ルーク、これは本当に助けになるよ! 早速ナーバル村でやってみる!」
「承知いたしました、タイチ様。どうか今後とも図書券スキルをご活用くださいませ。では本日はこの辺りで失礼を」
「ルーク。ありがとう!」
「いえ、お役に立てて何よりでございます。タイチ様、いらぬお世話かもしれませんが一言だけよろしいですか?」
「あ、はい。なんでしょう?」
「タイチ様のスキル、図書券は使用制限がございます。スキルレベルが低うございますので使用はおそらく二日に一度程度かと思われます」
「あ、そうなんですね。わかりました。ありがとうございます!」
「とんでもございません。タイチ様。二日後、ぜひまたご利用くださいませ」
ルークが再び一礼すると周りの景色が変わっていく。
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