第4話 なんだかんだってなんだ?

「私はこのナーバル村の村長の娘です」


「へー、なんか納得」

「え? なにがですか?」


「あ、いや、こっちの話。えっと、アリアさん、僕はどうすればいいですか?」


「えっとですね、能力を測るためにはここから西に歩いて二日ほどのロフィの町の教会で調べてもらう必要があります」


「なるほど、そこへ行けばいいんですね?」


「ただ、問題が」

「なんでしょう?」


「能力を測るためには教会への献金が必要でして、その、村にはそんな余裕はなくてですね」


「あー、なるほど。わかりました。なんとかしますよ」

「よろしいので?」

「もちろん。で、どれくらい必要なんです?」


「金貨一枚です」

「はい? き、きんかいちまい?」


「はい」


「そうか、ごめんアリアさん。僕、貨幣価値がわかってないや。例えば、村で一か月生活するのにどのくらいかかるんです?」


「そうですね、村では基本自給自足ですからそれほどかからないんですが、ロフィの町であれば、パン一個が小銅貨一枚、エール一杯が銅貨一枚、宿代は一日銀貨一枚といったところでしょうか」


「ほー、なかなか。で、金貨っていうのはどれぐらいの価値があるの?」

「えっと、銀貨十枚が金貨一枚ですね」


 今聞いた話だと小銅貨五十円、銅貨五百円、銀貨五千円、金貨五万円て感じか、覚えとこう。

 つまり、教会で能力を測ってもらうのに五万円かかるってことか。


 いや高いだろ。


 そんなボクの様子を見て、アリアさんは心配そうな顔をしている。



 待てよ。

 そう言えば神様がなんか言ってたな。なんだかんだと図書券。

 なんだかんだってなんだ?



「あのお、タイチさん。大丈夫ですか?」

「あ、ああ。ちょっと考え事をしていました。あの、ちょっと試したいことがあるのでやってみていいですか?」


 ダメ元だけどやってみるか。


 でも、でも、やっぱりやってみたい!

 よし! やってやる!


 ボクは決心する。ここは思い切って、アリアさんにお願いするしかない。

 アリアさんは不思議そうな顔をして僕を見つめている。


「鑑定!」


 ボクは目の前にいるアリアさんを見ながら声高らかに叫んだ。

 しかし何も起こらない。

 アリアさんはキョトンとした顔でボクを見ている。


「恥ずかしい!!!!!」

 ボクは恥ずかしくなって頭を掻きながら、彼女に謝った。


「あの、今なにを?」

「いや、なんでもないんです! ごめんなさい! つい出来心で! いけるかなと思っちゃったんです! ほんっとごめんなさい!」


「え? はい? 何が起こったんですか?」

「いえ、なんでもないです!」


「あの? タイチさん?」

「すみません! もうしませんから許してください!」


「え? え? タイチさん? 今もしかして能力を測ろうと?」

「あ、はい、ごめんなさい」


「あの。教会では能力値を測る時の呪文があるんです」

「ごめんなさい! もうしま、え?」


「はい。あの、教会では能力値を計測する際に決まった呪文を唱える必要があるんです。それで、今のはもしかしたらと思ったのですが」

「あ、そういうこと?! で、どんな呪文なんでしょう? 能力値を測る呪文」


「はい。『ステータス』と唱えれば」


「え? なーるほど。そっちかあ! よし、じゃあ早速」


『ステータス!』

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