第1章 始まりはキレイなお姉さんから
第2話 アリアさん
「あれ? ここは?」
目を覚ましたのはベッドの上で、目の前にはかわいい女の子がいる。
「おはようございます。大丈夫ですか? どこか痛むところなどありませんか?」
「えっと、あの、はい。大丈夫みたいです」
「それは良かったです。本当にありがとうございました」
そう言いながら微笑みかけてくれた彼女は腰まで伸ばした銀髪に青い瞳、そして真っ白な肌。
まるで天使のような美しさで見とれてしまった。
「えっと、私はアリアネル・ハイセリアと言います。驚きました、急に空から落ちてきて魔物を倒したんですから」
「あ、ああ、ごめんなさい。いろいろとありまして。え? 魔物を倒した? ボクが?」
「はい、空から舞い降り、最近出没して困っていた鹿の魔獣を一撃で倒されました」
「はあ」
どういうことだろう?
全く身に覚えがないんだけど。
「はい。それで、その、大変申し上げにくいのですが、貴方様のお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、はい。えっと、ボクはタイチといいます」
「タイチ様ですね。ようこそナーバル村にいらっしゃいました。私どもでできる限りの歓待をさせていただきます」
「あ、ありがとうございます?」
「さっそくなのですがタイチ様にお願いしたいことがあるのです」
「はあ、なんでしょう?」
「実は今、村が危機に陥っております」
「あ、あの! すみません、ごめんなさい。僕もまだ何がどうなっているのかわかっていないんです。少し話を聞かせてもらってかまいませんか?」
「ああ、申し訳ございません。いきなり私たちのお願いだなんて。そうですよね、渡り人様はまだこの地に来たばかりですものね。ではなんなりとお聞きください。私にわかる事であればお答えいたします」
「あの、えーっと、渡り人? あ、えっと、その話し方は普通ですか? もしもっと楽に話せるならそうしてもらいたいです。なんだか緊張します」
彼女の言葉遣いはとても丁寧で、しかもボクより年上なのに目上の人に話すような感じで、なんだか違和感があるんだよね。
彼女は少し考えた後、ボクに向かってニッコリ笑いながら
「はい。ではタイチさん、とお呼びしますね。できるだけ普段通りに話します」
「ありがとうございます。えーっと、あなたのこと、なんて呼べばいいですか?」
「アリアとお呼びください」
「わかりました。アリアさん、それでここはどこですか?」
「ここはナーバル村です」
彼女が言うには、ここは王都から馬車で十日ほどかかる場所にある、辺境の村だそうだ。
周りは森に囲まれていて、魔物が出るのであまり人の出入りはないらしい。
ただ、年に数回、冒険者と呼ばれる人たちが魔石を取りに来るそうだ。
「ナーバル村ですか。で、僕はなんでここにいるんでしょう?」
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