図書券スキルで異世界開拓!

UD

プロローグ

第1話 神のキカク

「突然だけどタイチ君、異世界に転移してほしいんだ」


「ええっと。ごめんなさい。なに言ってんのかよくわかんないんですけど?」


「うん、ホントそうだよね。で、ごめんなさい」


 今、僕に軽く謝っているのは神様。

 本人はそう言ってるけど、マンガじゃあるまいし、なにかのキカクってやつだと思う。


 銀髪に青い瞳、見た目の年齢は僕と差はないように見えるけど。

 なんでこんなに日本語を話せるのって感じ。


 ってかボクはなんのキカクに引っ掛かったんだろう?


「うん、まあ君がそう思うのは無理もないと思うんだけど、本当に、あ、君たちふうに言うとマジなんだよ」


「え? なんでボクの考えてることが?」

「だからあ、マジ神なんだって。君の考えていることは全部わかっちゃうんだよ」


 そんなわけないじゃん。


「そんなわけないじゃん」


 ってか、なんでいかにも神様みたいな格好してんの?


「いや、それはないんじゃない? 分かりやすさだよ、僕だってこんな格好したくなかったんだよ? 君のイメージの神様がこれだったんだから仕方ないじゃない。ほんとゲームのしすぎだよ、タイチ君」


「いや、まあゲームは好きだけど。マジで? ほんとに神様なの?」


「だからそう言ってるじゃない。その上で、ごめんなさい」


「なにが? え? どうなってんの?」


「だからそれをさっきから説明してるんだけど。もっかい言うよ。タイチ君、異世界に転移してほしいんだ」


「だからあ、意味わかんないって! もしあなたが本物の神様だとしてもさ。そんなこと突然言われて、よっしゃあ! ってならないですよ?」


「うん、ま、そうだよね。だから少し特典をつけちゃいます。なんだかんだと、図書券二千円分!」


「いりませんよ、ってか、なんだかんだってなんなんですか? しかも何? 図書券てなんなんですか?」


「だめなのか。えーっと、じゃあねえ、今から転移する世界で自由になれる! これでどうだ!」


「いや、どうだ! って言われても」


「ええい! じゃあなんやかんやと自由と図書券無制限! どう?!」


「だから図書券ってなんなんですか? いやそれよりも異世界に行って僕の家族はどうなるんです?」


「あ、気づいちゃった? うん、はい。会えなくなります、ごめんなさい」


「なに言ってんだあんた。聞かなかったら答えないつもりだったの? 行きません、ごめんなさい」


「うーん、じゃあさ、少しだけヒントね」

「なんで急にヒント出すの? 問題も出してないのに」


「ヒント! なぜタイチ君の住んでいる世界には異世界物のマンガやアニメ、小説が多いのでしょう? それは転移者が戻ってきているからです!」


「いや、それヒントじゃないよ。答えだし」


「と、いうことだから。運が良ければ戻ってこられるからね」

「ちょっと待って。今、運がよかったらって言ったよね?」


「っち!」

「ちょっとお、ちゃんと説明してくださいよ! でないと行かないですからね!」


「仕方ないなあ、わかったよお。異世界転移は神の御業。僕はこの星、地球から異世界ニニラカン大陸って所に転移させる。本来、ニニラカン大陸からこっちへの転移は向こうの神が決めるんだけど、特別に君は僕の力で元の世界に転移できるようにしておくから、時期が来たら戻れると思うよ。ま、とりあえず転移先で思うように自由に楽しんでくれればいいから。じゃ、よろしくね!!」


 神が指をパチンと鳴らす。


「いや、ちょっと待って!! まだまだ聞きたいことがあああああ!!」


 突然足元に白い穴が現れそこに落とされたんだ。

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