工作の宿題でタイムマシンをつくった話
あれは小学6年生のときの話だ。
小学校の夏休みの宿題のひとつに工作があった。
5年生のときはテレポート装置を作って提出したので、6年生になったその年は、もう少し手の込んだものを作ろうと考えていた。
もちろん夏休みの宿題は工作だけでなく各教科の分厚い冊子もあるので、工作だけに時間を割くわけにはいかない。
それに宿題だけやっていては夏休みが台無しになってしまう。
僕は国語算数そっちのけで真っ黒に日焼けした。
玄関のバケツには捕ってきたザリガニが元気に泳ぎ、泥や砂にまみれた靴は毎日のように洗われた。
おかげで日記のネタに困ることはないくらいに毎日を楽しんだ。
そして知らぬ間にカレンダーは進み、気づけば夏休みも残り数日、折り返しのさらに折り返しの辺りまで来ていた。
それに気づいたのは、もう分厚い冊子に手をつけなくなって30日が経った頃だった。
はじめから、冊子をめくるつもりもなかった僕は、宿題そのものの事をすっかり忘れていたのだ。
「あ、工作やってない。」
当初は夏休みいっぱいに時間をかけて作るつもりだった。
その年、僕はタイムマシンを作るつもりでいた。
タイムマシンを提出したらきっとみんな驚くに違いない。
そう思っていた。
他のものを作ろうかとも思ったが、小学生最後の夏休みの工作で妥協するのは嫌だったので、残り数日はタイムマシンを作ることだけに集中した。
そして新学期初日の朝、徹夜して作った甲斐もあり、突貫ではあるものの何とかタイムマシンが完成した。
手始めに、僕はタイムマシンで、ひと月前へ戻った。
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