十章 終章冒険の始まり

第123話 春動

『春動』ググっても光風動春の四文字熟語か春に関する見当違いの解答しか出ないが、『春動』とは暖かくなって虫がうごめき出す事だ。


 炭坑町は、石炭の事が理解出来て居なかったり、ゲンカイ村の住民気質が全く分かって居ない、善良過ぎるボンボン育ちのハンエイ子爵では運営取り締まりが出来て居なかった。


 大本からの改善が必要で、全てを知っている僕が関わるしか無かった。

 食料にしても、豊かなハンエイ町から定期的に届く様にしていた。

 そのせいで、クズどもが遊んで贅沢三昧する土壌が出来てしまっていた。

 僕はイリス王国から脱穀精米作業者を招集し、無駄に有る家畜の餌の茶麦を脱穀させ、重犯罪奴隷の食べ物は玄米粥と雑草のみにした。

 クズども犯罪奴隷は処刑の代わりの処罰、食費は掛けず経費節減だ。

 普通のと言えば語弊があるが、多くの炭坑採掘奴隷には玄米粥に少量の干し肉と雑草を食べさせて居る、炭坑堀作業者が死ぬ事が無いよう最低限の配慮だ。


 重犯罪奴隷は出来れば過労と空腹で死んで欲しい位、温情は一切かけん!

 逃げ出すまでのゲンカイ村で、僕達に与えられた食べ物は玄米粥だけだった、白米の粥では栄養不足だが玄米粥は殆どの栄養素が含まれている、雑草の生食は不足栄養素を補う物だ。

 食の楽しみとか一切の楽しみを奪い重労働をさせる、罪に対する罰だ。


 冬の間のみ雪の下など雑草を食い尽くされたら、様子見でクズ野菜を与えてよいと監視兵に指示を出しては居る。


 奴隷の監視に使い方、最初に確りやって置けばここまで手のかかる事では無いのに、凄く煩わされた。

 気付けば冬が終わり雪も溶けて、暖かい日差しの日が増えてきた。


 長く関わり過ぎた!

 最果ての炭坑町に早馬が急を知らせて来た。


「イリス大王様!ウエルズ公爵様からの伝言です!

 シバレル連邦との封鎖国境に不穏な動きが見られる!との事で有ります」

「ご苦労!ゆっくり休んでくれ」


 春になって虫が蠢き始めたか、連邦バカに付き合わず攻めるか?

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