第121話 当然の悶着

 ゾロ隊長とササにリンド、それにレッス達25人の案内は大名行列のようで目立ってる。

 不思議な事に、炭鉱内の作業者はレッス達25人以外居なかった。

「レッス、石炭はこれだけの人数で掘ってるのか?」

「もう15人居るが、病気になった」

「それでもたった40人か?村民は200人か300人居ただろ、他の者は何をしてる?と言うかレッス達だけで炭坑堀、誰が指示してる?」


「代官やってたコズルト騎士爵様が、全て指示を出してる」

「横領常習犯の代官か、ハンエイ子爵は何を見てる?監督不行き届きだな」

「ゾロ隊長!コズルトは何処に居る?」

「日中は厨房に居ると思います」


 食堂に入ると太った男と村長に息子のルース、それに僕の兄貴のウォントが飲み食いしながら騒いでる。

「休憩時間では無いで有ろう!何をサボっておる!!」

 ゾロ隊長の大声で、一瞬静まったがコズルトがニタニタ笑いながら。

「門番隊長様はお暇なようだ、儂らは忙しく会議中、静かにして下さらんか」

 ルースがこっちを見て。

「おい!レッス!!お前達何をサボってる!

 ん?貴様は逃げ出したイリスにレイラ?」

「俺達は奴隷解放された!今からお前達を監視する番兵だぞ!!」


「解放?おぅ!首輪が無い!誰に解放して貰った?」

「イリス様に解放して貰った!」

「イリス様?おいイリス!俺達も解放しろ!!」

 僕はルースとコズルトに村長とウォントを張り倒した。

 やんわり殴ったが、景気良く吹っ飛んだ。

「お前達4人は証拠付きの犯罪者、他の者は真面目に働いて自分を自分で買い戻し、解放奴隷になる望みはあるが、お前達は死ぬまで解放はされん!!」


「止めろ!儂を誰と心得る!」

「黙れ!騎士爵風情がそれも子爵に剥奪されたであろう!私は全てを支配する大王である!!無礼討ちされたく無くば口を閉じろ!!」

 大王と信じては居ないようだが、僕の迫力に沈黙した。


「イリス大王が命ずる!!お前達4人は毎日16時間、炭坑で石炭堀をせよ!!」

 逆らうと首が締まって酷く苦しくなる、4人は嫌でも石炭堀を始めるしか選択の余地がない。


 4人が炭坑に向かうのを確認し、厨房を看ると100人ほど溢れかえってる。

「レッス達、料理上手で真面目に働く者を選び出せ」

「5人しか真面目な者が居ないのか?流石ゲンカイ村のグズ住民!

 残りのお前達も炭坑に向かい、石炭堀をせよ!!お前達は1日12時間働いて後は休んでよい!!毎日真面目に働け!!」


 ゾロゾロ出て行った。

「ふうっ!ここまで酷い状態とは思わんかった、疲れたぞ…」

 もうどうでも良く成ったが、コークス製造所は確認して置きたい。

 その前に15人の病人を回復させないと。

「レッス、病人は何処に居る?」

「俺達の宿舎で寝てる」


 食堂の裏に掘っ立て長屋があり、その奥に新築宿舎が有った。

 レッス達は、当然掘っ立て長屋に入って行った。

「酷いな汚い!これじゃ病気が酷くなる!エリック薬を15本出して!」

 治療薬を15人に飲ませ、回復させた。

「イリスにレイラ?ありがとう生き返ったよ」

「「「「「ありがとう!これでまた働ける!!」」」」」


 と言ってる15人の首輪を外してやった。

「「「「「「「「「「「「「「「えぇっ?……」」」」」」」」」」」」」」」

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