第120話 涙の解放奴隷

「「「「「「「「「「ひっ!ひえぇ~~っ!!」」」」」」」」」」

「イリス大王様!!知らぬ事とは言え、大変なご無礼を働き申し訳有りませんでした!!」

 門番さん達が一斉に土下座して、平謝りを始めた。

「ハンエイ町の門番なら、子爵の事を第一に思うのは当然…隊長さん達は子爵の護衛オロとモノって知ってます?」


「よく知って居りますが?」

「ハンエイ子爵は、父親の公爵に再教育して貰うが、オロとモノは私を王と知りながら、飯炊きさせてふんぞり返って居った」


(子爵領、終ったぁ!)

「そ、うで有りましたか…オロとモノはハンエイ子爵様の護衛任務、子爵様が命令をしないと勝手な行動は出来ません」

 髭の隊長ゾロの、何気無いフォローがオロとモノを救った。


(子爵領の衛兵辞めたくなったぞ…せめて無礼の挽回するぞ!)

「イリス大王様!炭坑町をご案内させて下さい!」

「様変わりして勝手が分からん町、案内は助かるが案内中は大王呼びは控えてくれ、イリスで良い」

「いや、大王様を呼び捨てには…イリス殿、で良いですか?」



 髭の隊長がゾロで、班長二人の名がササとリンド、小柄で細い体型無口で男前な兄ちゃんと思ってたが二人は女性だった。

 付き合い長いけど初めて知ったよ、この三人が案内してくれるようだ。

「ササさんにリンドさん、前から気になってたけど聞けなくて、二人の武器レイピアじゃ無いね?」

「イリス様、さんは不要です、この武器は対人特化で殺傷より抵抗を奪う特注品です」

「イリス様、フルーレって言います、鞭の様にしなる刺突剣です。私も、さんは不要でお願いします」


(この二人近衛に欲しい、いっそゾロ達11人全員近衛にするか?優秀な人材を、遊ばせて置ける程人適余裕は無い)


「わぁ!ここレイラの家で向こうの家は僕の家だった」

 僕達は育ちの関係で、親とか兄妹の意識は希薄だが、レイラの直ぐ上の兄ちゃんはレイラと性格は真逆、寡黙で実直な良い人だった。

 名前は……。

「あれ?レッス兄ちゃん!」

「……レイラ?それにイリス?…無事で良かった」

 石炭堀で真っ黒に汚れた、痩せて腕だけが太いレイラの兄ちゃんが、笑顔で話掛けてきた。

 太い奴隷の首輪が目立ってる。


「浄化!」

 真っ黒に汚れたレッスが輝き、ボロボロの衣服と共に清潔な姿に変わった。

 レッスは驚き、自分の身体キョロキョロ見てる。

「ゾロ隊長!レッスの首輪を外して!」

 ゾロは驚きから、ぎごち無い動きだがレッスの首輪を外した。


「……レイラ?どう言う事?」

「レッス兄ちゃん、驚かないで!私子爵様だよ!イリスは全てを支配する大王様になった」

「……?」

「レッス!正式に僕の仲間に認定する!!」

 これでレッスは超人になった。


 訳が分かって居ない様子だが、レッスはボロボロ涙を溢してる。

 ボウジャク軍から回収した武器に防具、アイテムボックスの死蔵品になってる。

 レッスに革鎧と剣を装備させた。

「こんな立派な装備、貰って良いのか?」

「レッスは、ゾロ隊長に代わって町の警備兵になって貰う」

「レッス兄ちゃんが隊長だよ!」

「………」


 こんな感じでレッスに選別させて、農奴扱いだった24人の男女を奴隷解放して仲間認定し武器に防具を装備させた。


 ボロボロ涙の解放奴隷だった。


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