第117話 子爵はハンエイ町に帰らせた
街道宿舎は、江戸時代に有ったと言われる最低宿、木賃宿よりもっと酷くて係りの者が居ない、通行者が雨露を凌ぎ寝るだけの施設だった。
冬は通行者が皆無になる、係りの者を置いても仕事が無いのでこの時季は無人になるそうだ。
炊事場は有るが煮炊き用の
僕がご飯炊き、レイラとツミヒが干し肉入り具沢山の味噌汁作り、簡単料理だけど、文句は言わせん!
ハンエイ子爵は無人の宿の情報は掴んでた、食事は勝手に出てくる物と貴族的考えしてる、飯を舐めるな!!
護衛の兵士も食事の事を欠片も心配して居ないのに腹が立つ!僕達が
塩握りと味噌汁を食わせる前に一言言ってやった。
「子爵はしょうが無いとしても護衛の二人!お前達はお客さんじゃ無い!私をイリス王と知って居るで有ろう!王に飯を作らせてのうのうと食うつもりか!!今の状態では今後同行を許さん!!イリス王国イリス神として宣告する!!明日の朝食はお前達と子爵の食い分を作れ!!作れないならお前達は不要!!置いて行く!ハンエイ子爵も異議を認めん!!国王に対し不敬と思わんか!!」
ここまで言われて気付いたようだが、子爵の護衛に付くエリート兵士、プライドだけは有るようで何も言わん。
「二人外に出ろ!その根性叩き直してやる!!」
僕を追いかけ二人が出て来た。
「二人同時に掛かって来い!」
二人は剣を抜かず鞘を付けたまま構えた。
殺し会いをするつもりは無いのか、僕程度鞘で打ちのめすつもりか判断出来んが、待ってやるつもりは無い!
僕が駆け寄っても見えて無い、両手を広げ両拳で二人の首を同時に殴ってやった。
二人は僕の一撃で吹っ飛んだ。
「ハンエイ子爵!犬ゾリはかしてやる!護衛と一緒に帰れ!!ハンエイ公爵とは大違い!護衛の態度をいさめる事もせず傍観するとは!不敬罪に訪われる前にさっさと帰れ!!不愉快だ!!」
「もう1つ思い出した、貴様らが下女の如くあしらっておるレイラは子爵だぞ!!その行為だけでも首が飛んでも文句は無いはず!」
僕は普通ここまで偉そうには言わないが、役にも立たんちょっかいされて、今後の自由行動の妨げされては僕らの持ち味、迅速な移動が出来なくなる。
反論も謝罪も無い3人を無視して、僕達で全て飯を食い尽くした。
宿とも言えんこんな所で寝るより、先を急いだ方がましだ。
ひ弱で邪魔な同行者が居なくなった、睡眠しなくて大丈夫な妖精達に交代で御者して貰い夜の街道を行く。
防寒具にくるまった僕とレイラは、ゲンカイ村の冬より余程暖かく寝た。
カスミは鍛え方が違う様で、全く寒さを感じて居ないようだ。
元魔物のハスキ達は疲れを知らないように走り続ける、邪魔が無いので当然の事、翌日の夕方5つ目の宿に着いた。
ハスキ達犬を休ませる為だけに、宿泊した。
僕達だけなら、干し肉をかじり水を飲むだけで食事が終わる。
薪は無いが焚き火も不要だ。
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