第116話 ゲンカイ村にやっと行ける
子爵邸の朝食は普通だった。
ハンエイ子爵の質素な暮らしのように、食事も質素に感じた。
ゲンカイ村から逃げて来た直後に食べたなら、豪華さに涙しただろうとは思うが、僕達贅沢に慣れ過ぎかも。
案内すると言ってくれた子爵だが、いっこうに出掛けようとしない。
「ハンエイ子爵さん?いつゲンカイ村に行きます?」
「ん?雪解けの春になってからじゃな、積雪はこれからも増えそうだ」
ダメダメじゃん!呑気過ぎだ!!
「これから、僕達だけでちょっと様子を見て来ます」
「雪道は馬車の通行止めして居る!歩いて行ける距離では無いぞ?次の宿場でも1日では行けん」
聞けば馬車で1日の距離に計5ヶ所街道宿舎を設置したとか。
馬車で5日なら、犬ゾリで行けば2~3日で行ける!楽な道のりじゃ無いか、雪のカマクラ作って野営しなくてすむ。
「犬ゾリで行きます!馬車の倍ほど速度が出ます」
「犬ゾリ?馬屋に停めてある、奇っ怪な物か?私も乗れるか?」
「防寒着確り着て、子爵さん一人なら乗れますが、護衛無しでは出掛けられないでしょ?」
「護衛最低2人は付くな……あれと同じソリを大急ぎ作らせる!」
「ソリなら予備が有りますが、馬やロバに引かせると速度が遅くなります、犬は魔物ワーウルフやグラスウルフを改造したもの、パワーと持久力が優れています」
僕達だけでは行かせてもらえない感じ。
「ちょっと狼捕獲に行って来ます!」
僕達は犬ゾリに乗り、街道沿いの森に入った。
雪に埋もれた森には冒険者が滅多に入らない、寒さに強いオオカミの天下狩り場になっていた。
「探す必要無かったね」
グラスウルフ5頭の群れが、早速現れた。
ツミヒが操り、美咲姫が改造、犬5頭をゲットした。
子爵邸に帰り、ソリ引きに慣れた犬に『シロ』と『ゴロ』の命名をして中型ソリ引きさせる、捕獲した1頭を付け中型だけど3頭引きにした。
僕のソリにはハスキを中心に捕獲犬4頭を付け、5頭引きにした。
森には入り難いが街道を行くなら速度が増す。
防寒着を確り着込んだ子爵と護衛二人が出てきた。
安全の為子爵は僕のソリに乗って貰う、中型ソリの御者はカスミ、護衛二人に乗って貰いゲンカイ村に向け出発した。
「これは凄い!雪道を滑って行く!速いな!!」
子爵は犬ゾリが気に入ったようだ。
護衛の二人に操作を覚えて貰い、中型ソリは子爵に進呈しよう。
昼前の中途半端な時間に出発した為、3時過ぎに街道宿舎が見えた。
「今日は無理をせず、あの宿舎に宿泊します」
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