第112話 雪道の交通手段

 雪道の交通網の改善、思い付くのは犬ゾリだけど、この世界で豚の様な家畜や犬猫など見た事が無い。

 犬に代わる牽引動物……


『主様?牽引動物とはどんな動物ですか?』

 独り言言ってたようで、美咲姫が聞いて来た。


「馬車を引く馬の様に、雪道を滑って進むソリを引く動物で、一般的には犬と言って狼に似た賢い動物なんだけど、この世界に居ないんだ」

『居ないのなら造りましょう』

「造る?」

『主様が狼に似てると言われました、無から有は大変ですがグラスウルフを犬にするのは簡単です、ツミヒ先輩に操って貰えば従順な牽引動物に成りますよ』


「妖精って凄いな!そんな方法考えもしなかった」

『私達を有意義に使える主様の方が凄いです』



 グラスウルフを求め、イリス領都にやって来た。

 ハンエイ公爵領辺りから積雪が減り、侯爵門町辺りから積雪は殆ど無かった。

 レイラとナオには、放置状態のイリス領都の現状調査に残ってもらった。

「カスミにオボロ!問題無いか秘かに調査して」

「「イリス様!出番有り難う御座います!!」」

「危ないと思えば拳銃使って良いぞ」

 二人は頷き、さっと消えた。

(カスミにオボロはいつも影から守ってくれて居るので、つい存在を忘れる)



「寒いのは寒いが、雪が積って無いのは有り難い」

 兔やホーンラビは旨いし簡単に狩れる為か、狩り尽くされたのだろう見当たらない。


 ネズミや小動物を狙ってか、グラスウルフは結構な群が居る。

 人より少し大きいから1頭2頭で良いのかな?群は4~5頭で狩りをしているようだ。


 手始めに4頭の群をツミヒが操り、大人しくお座りしている所を美咲姫が改造し、トゲトゲの首がふさふさの毛でおおわれたシベリアンハスキーの様な犬が4頭尻尾を振っていた。

「良いね!この調子で10頭連れて帰ろう」


 5頭の群を改造し、9頭でも良いかと帰る事にした。

『やっと僕の出番だ!』

 エリックの声に振り向くと、傷付き脚を引きずってるハグレ狼が居た。

「あれはワーウルフ?」

 ツミヒが操り、エリックが回復修復し、美咲姫が改造した綺麗で一回り大きいシベリアンハスキーが尻尾をブンブン振っている。

「この子ハスキと命名する!」

 僕の命名は特別な意味がある、命名と同時にハスキが輝き、知的な瞳を僕に向けて来た。

「僕の言葉が分かるだろ?ハスキ」

「バウッ!」

「元ワーウルフのハスキは群を率いてくれ!」

「バウッ!!」


「後はソリを作るだけ」

『主様!ソリの材質に形を教えて下さい』

「木製でこんな形」

 地面に絵を描いて説明した。

 実物大に描くのは大変なので、大きさ比較に犬が引いてる絵にした。


『回りの木を使ってソリは簡単に作れます、犬に装着して引かせる革装備は……主様近くに最高位ダンジョンが有りますね!そこで作ります』

「ツミヒダンジョンの近くまで来てたのか」

『主様、久し振りにダンジョン点検出来て都合が良いです、行きましょう!』


 ツミヒダンジョンは問題無く、美咲姫はDPダンジョンパワーを使い犬ゾリ装備を作ってくれた。

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