第110話 意味無き人質

「この者はカンゲイ聖教市国の聖王と判明した!偉大な我が国王の寛大な処置で身柄を引き渡す!代わりに麦10トンを請求する!!」

 シバレル連邦兵が、頭の悪い請求をしてきた。

「身柄引き渡し不要!その者はカンゲイ神の神意反逆者につき、処刑等勝手にやれば良い!以上交渉の余地無し!!早々に国境防壁周辺から立ち去れ!!お前達も神託は受けたで有ろう!!」


 返事の代わりに矢を射かけて来た。

 当然応戦し、矢的の精度の違い射掛けて来た全員射殺した。

「殺したな!宣戦布告無く、無法な行為我が全軍で無法国家に報いを受けさせる!!」


「おい!!道化師!精霊が全て記録して居るぞ!!記録を見るか?」

 美咲姫みさきの左目が青く輝き、虚空に映像が投影された。

 ツミヒは録音だけだが、データの美咲姫は映像録画出来るそうだ。


 シバレル連邦が矢を射掛け、イリス王国軍が応戦して射撃者を射殺した。

「殺したな!宣戦布告無く、無法な行為我が全軍で無法国家に報いを受けさせる!!」


 茶番劇は全て放映された。

「道化師殿、そなた達の違法行為、全て記録済み!これ以上の茶番劇は不愉快!!逆に我が軍勢総力で大陸からシバレル連邦を消し去るが、どうする?」


 シバレル連邦の将軍らしき男が、悔し紛れに聖王を斬り殺し引き揚げて行った。


 たった3日後、聖教徒を二人連れて来た。

「この者達はカンゲイ聖教市国の聖教徒と判明した!偉大な我が国王の寛大な処置で身柄を引き渡す!代わりに麦20トンを請求する!!」


 懲りずに又々頭の悪い請求してるが、一人10トンで二人なら20トンか、次は聖徒5人で50トン?

 シバレル連邦は何を考え、何がしたいのか全く不明な、正気とは思えない行動をする、理解に苦しみ不気味さすら感じる。

 今回は誰も相手にしなかった、国境警備兵も完全無視を決め込み、何も聞かなかったかの如く無言で警備を続けた。


 無反応に腹を立て、聖教徒の二人を斬り殺し打ち捨て帰って行った。


 直ぐにでも聖徒5人を連れて来るかと思われたが、奇行はピタリと止み暫しの平穏が国境に訪れた。



 国境辺りは冬の訪れが早い、まだ11月と言うのに雪が積り出した。

 寒さで動きが悪くなると、竜神達が不満を言い出したので、動ける内に竜都へ帰らせた。

 シタエズ生まれでシタエズ育ちのカツ達は、雪が積った冬景色を見たことが無く、凄く興奮して眺めて居たが寒さに慣れて居ない為、カツ町に帰らせた。


「イリス、私達13歳に成ってたよ!」

「そう言われてみれば11月も終わり明日は12月、と言う事はデイダも13歳に成ったのか」

 とは言っても誕生日を祝う習慣は僕らには無いけど、何か美味しいものでも食べながら夜逃げしてからの1年を語り合いたい気持ちになった。

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