第108話 宣戦布告?

 国交断絶の捨て台詞は、宣戦布告と言う意味だったようだ。

 あから様に宣戦布告と言わないのは、戦闘行為が有った場合「一方的に攻撃された」と言い掛かり出来る為だそうだ。

 元ならず者の参謀だったショカツ宰相の解釈だ。


 教徒市からエリスを呼び、シバレル連邦の内情を聞いた。

「イリス神様、シバレル連邦は良い国だそうですよ」

 シバレル連邦を歩いた教徒達の話では、連邦の住民は明るくおおらかで、気の良い人達だったとか。

 金貨をバラ蒔く有り難い客人、無下には扱わないのは当然だが、盗賊暴漢に合う事が全く無い治安の良い国だったそうだ。


「どう言う事だ?使節団から受けた印象と連邦住民の情報と、あまりにもかけ離れた話、どう解釈すれば良い?」

「イリス神様、シバレル連邦上層部兵達が腐った考えの無法者だと言う事でしょう、聖教市国と同じと考えては?」

 ショカツ宰相の説明で納得した。

「国交断絶で無関係な国になった、これ以上考えても無駄だ、今後の連邦の出方を見て対応すれば良いだろう、それより黒竜航空便の構想を進める方が有意義だ!」


 ウエルズ公爵とハンエイ公爵を交え、僕の構想を話た。

 国境山脈のこちら側は、12月から2月以外の黒竜航空便の運用が決まった。

 各地の責任者を召集するより、通達して廻った方が早くて確実との事で、僕がクガネに乗って通達に廻った。

 と言ってもデイダ達にカツ達も同行したので、金竜銀竜総出の通達になった。

 竜神に乗っての通達訪問は、各地で僕の偉大さをアピール出来て、結果は良好だった。


 一方ハンエイ子爵が動いて、ゲンカイ村の村民子供以外全員を犯罪奴隷にし、炭鉱掘りに従事させたと報告を受けた。

 ゲンカイ村の大人達が行って来た行為は、充分犯罪的行為で奴隷落ちは当然だと思う。

 あの村はハンエイ子爵領だったのか?それにしては酷い村を放置していたのは何故だろう?

 その答えは父親のハンエイ公爵が説明してくれた。

「イリス神様、息子の不手際誠に申し訳ありませんでした!所轄大官の府政が巧みで噂の証拠が掴めて居りませんでした!不正を働いていた関係者全て処分、炭鉱掘り奴隷にして居ります!」


「村の子供達は?」

「息子の子爵が保護して居ります!」


 11月に入り、各地の村から収穫前の芋や野菜が盗まれた被害届けが多数届けられた。

「シバレル連邦との国境周辺に、被害が集中して居る!盗賊は連邦兵の疑いがある!警備を強化せよ!!」


 警備強化の甲斐が無く、被害は続いた。

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