九章 雪との闘い

第107話 国交断絶?

 僕はハッタリを兼ねて金竜に乗り、ウエルズ公爵領都に向かった。

 同行は事情通のショカツ宰相に、ツミヒ達3人の妖精、ツミヒは自力で飛んでる。


 金竜の後を、銀竜30が飛んで居る。

 デイダ達他のメンバーが納得せず、銀竜に乗って全員が来る事になったからだ。

 経験を積ませる意味で、カツ達5人に12歳になったミヨ達3人も初級3等に昇級、同行する事になり銀竜の上で目を輝かせている。


 黒竜達は飛行速度が遅い為、遥か後方を飛んで居る。

 遅いと言えど早馬程度の速度は有り黒竜の同行は、黒竜航空便の有用性をアピールするためだ。




 ウエルズ公爵の宮殿、元王宮の練兵場は流石に広い。

 竜神達全員が降り立っても、余裕で広々としてる。

 連絡無しで降りた為、兵達が飛び出して来た。

「兵達!恐れる事は無い!黄金竜神と白銀竜神は、私イリス神が使役した!我が配下である!!」


「イリス神大王様!ウエルズ公爵が待ちわびて居ります」

 兵達の先頭にハンエイ公爵がいた。

「ハンエイ公爵、お久し振り!」

 竜から飛び降り「クガネ達、この場で待機せよ」

 僕の言葉に竜神達は、一斉に伏せ状態になった。

 竜からデイダ達全員飛び降りた。


「イリス神様!聞きたい事が増えましたが、シバレル連邦の扱いを決めたいと思います」


 ハンエイ公爵は歩きながら、詳細報告してきた。

 燃える石(石炭)は火付きが悪く黒い煙りが異常に出る、木炭程利用価値が無い貿易品として魅力が無い物と此方こちらでは判断されている、いっぽう雪に閉ざされるシバレル連邦では有り難い燃料らしく、交渉に用いる凄い切り札と考えられて居るようで、双方の考え方のずれが酷く交渉が成り立たない状態だそうだ。


「ハンエイ公爵、シバレル連邦と国交貿易は有るのか?」

「油断の成らない国で、どことも国交貿易は無いです、教徒が布教活動の為、出入りする位彼らは金貨をバラ蒔くので、歓迎されて居るようでは有ります」


「取り合えず会うだけは会ってみる」

 銀竜が降りて来た。

『主様!遅く成りました、これが石炭で有ります!』

 シロガネの指示で、石炭採掘に向かった銀竜が、貸し与えた収納袋を差し出した。

 中を確認すると、大量の黒い石が入っていた。

「石炭は初めて見る、教科書の写真そっくりだから間違い無い!このまま使わず蒸し焼き加工(たしかコークスだった)すれば、煙りが出ない良い燃料になる」


 ※作者は小学生の時、石炭輸送トラックがバラバラ落とした石炭を拾い抱えて帰り、風呂焚き(私の本を焚き付けから守る為、私の仕事だった)の時カマドに放り込み、外に出て煙突から黒い煙りがモクモク出てるのを「汽車みたい!」と眺めるのが好きだった。

 因みに、後に火力の高い石炭の為、風呂釡の底が破損し水漏れしだして父に怒られた。


「イリス神様?我が国にも燃える石があるのですか?」

「故郷のゲンカイ村の山から採掘出来る」

「燃える石は使いようでは有意義と思って居りました!我が国からも採掘出来るなら、もうシバレル連邦と交渉する必要が無くなりました!!

 イリス神様がお会いになる必要はございません」

「そうか?会うだけ会っても良いが?」

「不愉快な思いをされると思われます」


 会うだけで不愉快になるとは、どれ程酷いのか違った意味で興味が湧いた。



 僕が会う事も無く、シバレル連邦使節団は「国交断絶だ!!」と叫んで帰って行ったそうだ。

 元々国交を望んで来た、国交の無かった国だ、国交断絶も何も今まで通りの関係だろう?分からん国だ。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る