第103話 竜の巣

 帰ったはずのクガネが又々やって来た。

『主様、旨い酒皆に呑まれてしもうて、スッカラカンじゃ。追加を貰えんじゃろか?

 お礼と言って、詰まらんもんで要らんじゃろうが、これしか竜の巣にのうて』


 クガネが掴んで来た岩を鑑定してみた。

【金塊】(24K純金)

「ショカツ宰相!この塊は純金の金塊だが、値打ちは分かるか?」

「イリス神様、金無垢は1g銅貨5枚で換金、この金塊5㎏ですので金貨250枚になります」

「凄い様に感じるが、金貨は1枚10gで銅を1割り混ぜてるから、金の換金って値打ちの半値以下?換金屋暴利むしってる」


「多くの者がこれで食ってる訳で、金貨造幣してるウエルズ王国ハンエイ公爵に直に売れば金貨300枚に成ります。違った!今はイリス王国のハンエイ公爵でした」


『主様、金貨に変えましょうか?』

「ツミヒ?出来るの?」

『竜神通貨のアルフ妖精ですよ!有から有は楽に出来ます見ていて下さい!』

 金塊はジャラジャラ金貨に変わった。

『550枚出来ました』

「ツミヒは何でも出来て凄いな!!」

『何でもは出来ません、出来る事だけです』


 僕も驚いたが、ショカツ宰相が驚いて硬直してる。

「ショカツ宰相、この金貨は運営資金に使って」

「よ、宜しいので有りますか?」

「あぁ、良い国作りしてくれ!」

「ははっ!!構想して居りました娯楽施設の費用に宛てます」


 元ならず者って聞いたが、ショカツは優秀な人材だな。

 テキパキ指示を出しクガネの要求、特上ブドウ酒樽を20個持って来させた。


 クガネの目の前で収納袋に樽20個を詰めて渡した。

『主様、竜の巣に来られますか?皆が会いたいと申して居ります!』

 竜の巣?

「遠いのか?」

『我れの背に乗れば直ぐに着きます』

「ツミヒは乗れないのか?」

『主様!私は飛べます』

「へ?ツミヒ?飛べるの?」

『アルフ妖精ですから』

 ダンジョンから解放された、ダンジョンマスターは妖精と呼ばれるそう、妖精だから飛べる?

「美咲姫やエリックも飛べる?」

『オリジナルアルフ妖精の私だけです、飛べるのは…イプスはアルフ型妖精で無いので知りません』



 ツミヒ達には謎が多い、何をどう聞けば良いのか質問のしようが無い、全貌を知るのはもっともっと先になるだろうな。


 僕はクガネに乗って竜の巣を目指している。

 隣をツミヒが飛んでる。


 竜の巣は盗賊の森と呼ばれた、イリス辺境侯爵領の南端、国境山脈に有った。

「こんな所に黄金竜神達住んでたのか」

『この辺りに人が来る事は無い、派手に飛び回らねば知られる事はなかった』


「この辺りにもダンジョン探しで来た事はあるが?こんな所が有ったのか!」

 黄金竜神は金でも食べて居るのか、山肌に金鉱脈が露出してキラキラ輝いて居る。

『人がこの地を避ける様な処置が施されて居ります!』


「そう?」

 竜神ならその程度の事出来るだろうな。


 竜の巣なんて言うから、洞穴住居と思っていたらビックリ!白亜の建物が並んだ町に着いた。


 迎えた黄金竜神、成竜が5人で、小さいので子竜と思われる黄金竜神が10人いた。

『最近餌が豊富になり、子を増やす事が出来ました』

 米食普及で食料事情が良くなり、獣を狩り尽くす事が無くなった為か?

 こんな立派な家に住みながら、生肉が主食だった。

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