第102話 黄金竜神は酔っていた

 僕とツミヒは、トダマ副官に案内されて王宮の客間に入った。


「おっ!良い呑みっぷり!!ささっもう一杯どうぞ!」

『人間がこれほろ旨いしゃけちゅくっておりゅ…とは……』

「やっと寝たか!世話ぁ掛けやがって!」


「ショカツ宰相、黄金竜神のお相手ご苦労様!」

「トダマ副官?そちらのお方は?」

「国王イリス神様だ!」


「うゎおっと!!」

 ショカツ宰相は僕に土下座した。

「イリス神様!私ごときならず者を取り立てて頂き、感謝の念に耐えません!!」

「取り合えず立って下さい、この状態では報告受けにくい」

 ショカツ宰相の服装は、良く言えば着飾る事無く庶民的、普通に言えば、みすぼらしい服装だ。


 僕の視線に気付いたようで。

「着飾った貴族を見ると、殴りたくなったもので、自分がもし偉くなっても服装には気を使おうと思いまして…イリス神様も王とは見えない服装で」

「これは、キラキラした服では戦えないので、平和に成れば王らしい服を着るよ」


 僕が眠りこけた黄金竜神をみると。

「一昨日突然やって来て『イリス神に会わせろ』と言います「不在なので後程」と、やんわり断ると『帰るまで待つ』などと言われ策を練りました」


 黄金竜神に飲ませた酒は、ショカツ宰相就任後、流れて来た流民に量だけはある不味いブドウ酒を蒸留精製させ、上等なブドウ酒にブレンドし酒精が高く口当たりの良い、特上ブドウ酒にした物で王都一大事業になって居るそうだ。


『ん?寝ておったようじゃ!』

「黄金竜神様!初めまして、カンゲイ神から世界を託されたイリスと申します!」

『黄金竜神、そなたとは初になるアルフ妖精である!』

『アルフ型妖精で無く、オリジナルアルフ妖精なのか?何故ここに居る?』

『イリス神様に使役して頂いた!私だけで無く、データ妖精とイプス妖精もイリス神様は使役して居る!』


 黄金竜神は僕をまじまじと見詰めた。

『ガム妖精もいないのに、これ程旨い酒を造るとは…流石非情なカンゲイ神が全て託すはず!イリス神殿は尋常でないお方……儂と契約せんか?』


 酔っ払ってる黄金竜神にツミヒが高圧的に語り、僕を持ち上げる事で凄い存在と勘違いしたようだ。

(契約って命名すればよかったな?)

「黄金竜神!命名する!『クガネ』と以後名乗れ!!」


 クガネが輝き、僕に何か入って来た。

『クガネ…良い名を賜った!主様!以後末永く宜しく願います!!………おや?儂は何をして居った?何やら取り返しの着かん事になったような気が』

『主様に使役して頂いた!喜ぶべきじゃ!!』


『何なに?…イリス神様に使役された…黄金竜神の長の我が…使役された?』

『土産に特上ブドウ酒を渡す!配下の黄金竜神に報告せよ!!』


 クガネは特上ブドウ酒の樽を抱え帰って行った。

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