第97話 薬のダンジョンマスター

 15頭のビッグボアを倒し、全員鑑定を一通り使った。

 罠は無いが出てくる魔物がえげつない、2階層は予想通りクレイジーベアが出てきた。

 クレイジーベア…縄張り争いで傷付き弱った隙に、僕達はこっそり逃げ出した。


 あの時クレイジーベアに無謀に挑んでいたら、今の僕達は居なかっただろうな、死んでは居ないだろうが傷を負った事だろう、傷を癒しながらハンエイ町で細々と雑用をこなし、中級位にやっとなれたか?って所だろう。

 万全な状態のクレイジーベアなんて、当時の僕達では絶対倒す事の出来ない魔物だったが今はレイラ一人余裕で倒した。


 もっとも、当時の武器は手製のこん棒、ゴウケンさんの好意で手にいれた超剣の一閃で首を切り落とした。

 感慨無量だ、幸運は全てジジイ神の加護のお陰だろう。


「イリス【修復薬】を落とした」

 物思いにふけってた。

 1~2回の使用ではまだ詳細鑑定出来ないようだ。

「鑑定」【修復薬】(瀕死状態の回復、身体の欠損を修復する)


「修復薬は手足を切り落とされても、修復する薬だそうだ」

「何それ?凄い薬!」

「凄い薬だ!難易度は高いがアイテムは凄く良い!」


 連携訓練にもクレイジーベアは良い相手だ、離れた所で、ナオがマリとレインを鍛えてる。

 デイダがロイとミットに、巨大な強敵との戦い方を指導してる。


 修復薬を10本手に入れ3階層に降りた。


 更に難易度が上がり、ストーンゴーレムが3体セットで襲って来た。

 全員金棒に武器を変えて応戦、粉々に砕き『治癒薬』3本を手に入れた。

【治癒薬】(病気を完治する)

「病気を治す薬だ」

「このダンジョンは当たりだね!病気の薬は嬉しいよ!薬師が腹痛食中り程度の薬は作れたけど、流行り病や難病に効く薬は無かった」


 治癒薬12本手に入れ4階層に降りた。

 4階層は、アイアンゴーレムが3体セットで襲って来た。

 金棒でガンガン叩いてもアイアンゴーレムは頑丈、苦戦してるとツミヒと美咲姫が細工してくれた。

 アイアンゴーレムのひざ関節の球体とひじ関節の球体を取り出し、動きを止めてくれた。


 全員でアイアンゴーレムの頭をタコ殴り、グチャグチャに潰し倒し完治薬を手に入れた。

 鑑定で調べると、完治薬は全ての病を治す薬だった。


『『ダンジョンマスター!もう良いでしょう!!姿を現しなさい!アルフとデータが主様と会いに来た!!』』


 ツミヒと美咲姫が声を揃え、ダンジョンマスターに呼び掛けた。


『先輩お二人揃っての訪問嬉しいです、1万年一人で寂しかった』


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