第96話 神薬ダンジョン

 岩山に穴や亀裂は多いが、どれも入り口じゃ無かった。

「ツミヒ、ダンジョン入り口って分からない?」

『分かります!あれです』

「分かってたなら、早く教えてよ!」

『主様は、お昼ご飯猪か熊を探されて居るのかと思って居ました』


 ツミヒはお腹が減ったのか。

「休憩にする、軽く昼飯食って、ダンジョンに入る!」

『主様、カレーが良い』

『先輩、カレーとは?』

『竜神のカライに似てるが、遥かに旨い食べ物だ』

「ツミヒに美咲姫、手の込んだ食い物用意する時間が無い!これでも食って我慢してくれ、カレーは晩飯に作る」


 干し肉かじって水で流し込む、僕らの普通の食事なのに、ツミヒと美咲姫は不服そうに食ってる。


 食事よりダンジョンに早く入りたい!

 僕らの思いは同じ、昼飯なんて悠長に食ってられない。


 ダンジョンマスターの二人が居てくれて助かった。

 見比べても隣の裂目と変わりが無い入り口を僕らは入った。


 油断無く入り口を潜ると、いきなりビッグボアが襲って来た。

 構えていた矢撃器隊と弓矢隊が一斉に矢を放った。


 ビッグボアは何かの小瓶を残し消えた。

「ガラスの小瓶が一個?この無茶苦茶な難易度!期待できそう!!」

『主様、喜んで居られる所申し訳有りませんが、ベルタダンジョンじゃ無いです』

『主様?このダンジョン、ガムのダンジョンかも知れません』

『ダンジョンマスターは、アルフ、ベルタ、ガム、データの4人のはずですが、私の後に作られた者が居た可能性は有ります』


「このダンジョンの魔物、訳の分からんアイテムを落とすので、皆に神術『鑑定』を授ける」

 僕が授けたいと思えば授けれると、ジジイ神は言ってた。

 メンバー全員一人ずつ顔を見て鑑定を授けて行った。


「レイラ、これを鑑定してみて」

「?イリス、どうすれば良い?」

「見て、知りたいと思いながら『鑑定』と言えば鑑定出来る(と思う)」

 自信は無いけど、多分大丈夫、それで駄目なら鑑定を連呼する?


 レイラは小瓶を持って「鑑定」と言った。

「イリス、お薬だった『回復薬』だそうだよ」

「効果は?」

「名前しか分からない」

 使い初めはそんなもんか、僕も【手】としか鑑定出来んかった。

 ガラス瓶を持って鑑定してみた。

【飲めば深い傷も直る神薬】

「深い傷も直る神薬だそうだ。鑑定使い続けたら詳しく分かる様になるぞ!」


 皆は適当にビッグボアを倒してる。

 回復薬の神薬は有り難いけど、2階層はクレイジイベア位だろうな、ダンジョンマスターに会うのが目的とは言え大変そう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る