第90話 ミサキ▪データ

 役人エビゾウさんのお勧めの食堂に入った。

二品ふたしなが解放神様にお供えして喜ばれた物で御座います」


 僕以外は知らない料理だろう。

「天ぷらですね。ナスとさつま芋、大葉に魚はサヨリですか。天つゆ旨い!

 こちらは、イカのソウメン造りですね、シラガ大根にワサビまで付いてる」

「イリス神様は間違いなく日本から来られた方ですね」

「ご飯は寿司…隠し寿司だ!!」

「寿司と言われず、隠し寿司の名称までご存じとは…日本人だけで無くミサキ様と真の同郷なのですね!」


 ※【隠し寿司】江戸時代岡山城主池田藩主が出した『贅沢禁止令』

 庶民の知恵でお祭りなど特別な料理として作られた。

 酢飯に錦糸卵と刻み海苔を降っただけの貧しい寿司に見えるが、竹の子レンコン、ゴボウに人参椎茸アナゴ等を刻んだ物が混ぜ込まれ、一番下に海老イカサワラアナゴ等山海の幸が隠された寿司だ。


(イリスが普通に食べてるけど、これ生魚だよ)

 マリとレインはぎょっとして食べるの躊躇ちゅうちょしたが、他のクランメンバーは全く気にせず旨そうに食べてる。

 ゲンカイ村育ち、食べれる物は何でも食べ、食べられ無い物は工夫して食べた、食に貪欲な彼ら彼女らに食べられ無い食物は無い。



「タイにヒラメの縁側の刺身無いか?」

「ヒラメの縁側とは!イリス神様は通でいらっしゃる!」

 茶碗蒸しにタイのうしお汁、久し振りの和食を堪能したイリスだった。


 宿屋は畳に布団の寝具、佐伯のお爺ちゃんのようで、懐かしい感じだった。

 眠りながら去年…違った小5の夏休みの事を思い出した。

 お爺ちゃんのひい爺ちゃんが、佐伯は土倉1万石の元領地で、明治36年土倉男爵領になった、とか話てくれた。

「すげぇ!日本にも男爵って居たんだ!」って思った。



 宿屋の朝食は、ご飯に揚げと豆腐の味噌汁、焼きサケに海苔に生卵。

 皆が食べ方を見てる、器に生卵を割り醤油をチョロかき混ぜ、茶碗のご飯に穴を開けて卵を流し込む、ご飯をかき混ぜ卵かけご飯の出来上がり!

 海苔と一緒にズルズルっと食べる「う~旨い!」

 中居さんにご飯のお代わりをたのみ、結局5杯食べて満足満腹!!

 皆も凄く食べたので、中居さんご飯のおひつのお代わり持って来てた。



 エビゾウさんが解放神の聖洞に案内してくれた。

 聖洞は、岩山にポッカリ開いた洞窟の入り口って感じだった。

 いよいよ聖洞に入る。


「ミサキさん、会いに来ました!入谷 進です」

『入谷 進君?』

『ミサキ▪データ元気で居ったか?アルフだ!』

『え?ええっ!先輩?』


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る