第87話 皇帝も配下を選んだ

 部屋は土間どまにテーブルを置いた、応接室と言うより訪問客を一時的に招く部屋のようだ。


「初めまして、ナカエと申します」

 僕を見据えて皇帝が挨拶して来た、値踏みするような鋭い視線だ。

「イリスです、宜しくお願いします」

 流石帝国の皇帝、威圧感にびびるよ。

「イリス神様、奥の部屋で単独の首脳会談を望みます」

「ここで良いのでは?」

「着いて来て頂ければ、イリス神様だけに分かる部屋です」

 僕だけに分かる部屋?

 皆は僕の判断に任せる!と言った感じで何も言わない。

(僕の判断は、行きたく無い!恐いよ!!)


 と思いながらも、先を行く皇帝に着いて行ってる……


 皇帝は靴を脱いで、一段高い上がりかまちを上がり、引き戸を開けた。

たたみだ!」

「ほう!自然に靴を脱いで、畳をご存じとは…ナカエ帝国はイリス神様の軍門に降ります」

「えっ?(軍門に降る?配下になるって言い回し?)イリス王国の一員になると解釈して良いですか?」

「その解釈でよい、イリス神様は日本から来られた、ですな?」

「はい…皇帝は中江ですかそれとも仲江?」

「余は日本人では無い、ナカエ名は解放神に命名して頂いた」


「ナカエ皇帝はミサキさんを知ってるのですか?」

「やはり解放神の名をご存じでしたか!はいミサキ様に助言を頂いて居ります」

 皇帝は少し言い難そうにしている。

「ナカエ帝国はイリス神の軍門に降りますが、余は解放神のしもべ

「それで構いません、ミサキさんは日本の知識と竜神の知識それに1万年の叡智を兼ね備えた頼りになる人みたいですし」

「竜神?」

「聞いて無いですか?」

「……知りません」

 そんな悔しそうな顔しなくても僕もツミヒから聞いた事で会って無いから不確かな情報だよ。

「私の同行者に竜神が居たの、気付きませんでした?ツミヒと言いますが、おそらくミサキさんは同じ姿をしています」

「竜神が?ツミヒ殿にお会いするため、会談はこれにて終了で宜しいか?」


 言い終え、そそくさと土間の待合室に戻って行った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る