第78話 エズキ公爵連合軍

 エズキ公爵領に私兵を引き連れ、配下の貴族が集結した。

 集まった連合軍にエズキ公爵の第一声「食い物をくれ!今朝から何も食って無い!」にゲビタ伯爵達は顔を見合せ(この人に着いて行って大丈夫なのか?)と思うのだった。



「ご主人様!シタエズ連合軍が攻めて来ます!」

 カスミは奴隷から解放しても、僕への呼び名は変わらない。

「住民も兵達も、影の流言先導で王都公爵領は無人になったはず、誰が攻めて来る?」

「エズキ公爵の呼び掛けで、3伯爵4子爵6男爵の私兵1300が攻めて来てます。ロゴス将軍と国境警備隊2000が門前町で防衛体制に入って居ります!」


 今は門前町がシタエズ王国との国境になっている、国境警備隊は門前町に駐屯してるのか。

 頼り無い王を皆良く助けてくれてる、集合させた影達が逐一報告してくれるので、知っては居るがロゴス将軍の動きは有り難い。

「敵対貴族殲滅の良い切っ掛けだ、イリスクランの皆は?」

「出撃体制で、ご主人様を待ってます」


 住民が急激に増えた、飢える者が一人も居ないよう、僕は食料問題解決に全力投球していた。

 影の報告は「動き無し」ばかりだったもんな、ちょっと油断してた。


「ゴメン遅くなった…国境の門前町まで全力で走るぞ!!」

「気にするなイリスは良くやってる、連合軍の進行はくっとろい、合戦は明日になりそう」

 走りながらレイラが言って来た。

「その情報はたしかか?」

「私がこの目で見てきた」

 レイラはさっきまで、連合軍の進行具合を見てたそうだ。


 町一つと村五つを走り抜け、2時間で門前町に到着した。

 カスミにオボロも、遅れる事無く着いて来れるようになってる。


「国王様が来て下さった!」

「国王様?子供に見えるが…」

「おれは死にそうなところを、奇跡のお力で救って頂いた!」

「イリス王様は、カンゲイ神様の使徒様!非力だった自分達に力を授けて下さった!」


 見渡した感じでは、食料支援に来た時の2倍か3倍に人口増えてる。

「イリス王自らの応援感謝します!」

「ロゴス将軍、食料は足りてる?」


「聞いたか!住民諸君!!イリス王様は進行中のエズキ公爵軍など眼中に無い!!我々が食に困って居ないか、敵軍よりその方が重大ごとと思われて居られる!!」


「「「「「「「「「「「「使徒王様!!!」」」」」」」」」」」」


 僕を神格化した張本人はロゴス将軍のようだ。

 原始的未熟な社会の統治者は、神格化した方が住民を統治し易い、卑弥呼の昔から歴史的事実になってる。

 魔法の無い世界で魔法を使うと、神の御業に見えるようだ。

 特に『手当』は使い慣れて、傷に病気極度の衰弱回復にも効果が現れた。


 それは良いが、あまりにも敬われると普通に行動し難くなってるのは、ちょっと困る。

 シタエズ王が非情に徴収した、荷車30台分の食料は分配し、全て消費してる、ボウジャク侯爵の謀反鎮圧時に手に入れた荷車50台山盛りの物資がやっと役に立つ。


 調理兵100人とクランメンバーが炊き出しを始めた。

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