第72話 ムタ辺境伯爵

 リュウサとピサロは、カツ町冒険者ギルド設立の為残った。

 母親より早く、二人ともギルドマスターになるのを喜びつつ、イリスクランメンバーから外れるのは凄く残念そうで、複雑な表情で見送ってくれてた。


 イリスクラン11人とツミヒ、ロゴス将軍と10人の兵、23人は西に向かって走った。

 疾走する僕らは、2時間で物々しい巨大砦に出くわした。

「ロゴス将軍、あれは何だ?」

「ムタ男爵の父親、ムタ辺境伯爵の領地です」

「親豚の領地か、豚の親なら同じ様に救いようの無い貴族だろうな」


「屑貴族で有ります!エズキ公爵とムタ辺境伯爵を滅ぼせば、イリス王国建国は目前で有ります!」

「エズキ公爵?」

「シタエズ王の弟で有ります!」

「勘違い無能王に弟?」

「シタエズ王よりもっと酷い、人間離れした男です」

「人間離れ?」

「戦闘バカです!シタエズ王国一の強者では有りますが、ただ粗暴な世間知らずで有ります」


「シタエズ王国一の強者か、今はロゴス将軍の方が強者ではあるが」

「私は名誉めいよあるイリス王国の将軍で有ります!イリス王国内で最弱では有りますが、シタエズ王国の誰にも負けません!!」

「ロゴス将軍も、クランメンバーと同じくらい強くなってるぞ!自信を持て!!」


激励げきれいのお言葉有り難う御座います!部下10名と制圧して参ります!休憩して居て下さい」

「全員で制圧した方が、安全で早く済む!目的は飢餓の住民の救出だと言うことを忘れない様に!邪魔者貴族討伐はただの手段だぞ!!」


「了解で有ります!

 国境警備隊、ロゴス将軍である!!報復が有って参った!開門!!」

 生真面目な男だな、報告じゃ無くて報復って言ってる。


 ロゴス将軍の勢いで、門が開いた。

 僕達は門を入った広場で、待機させられた。

 伝令が馬を走らせて、不釣り合いに豪華な宮殿に向かった。

「ロゴス将軍、この待機の意味は?」

「息子の男爵なら宮殿に招くが、配下の兵ごときは招かんって事で有ります」

「奪う事になる宮殿を血で汚さずに済む、有り難い事だな」


 儂は偉い辺境伯爵だ!待たせて当然って事か、3時間待たされた。

「時間が惜しい!攻めるぞ!」

 僕が号令を掛けると、馬車がユックリやって来るのが見えた。


 馬車から降りた男は、一目で親豚と分かる不健康な脂身だった。

「ロゴス、報告を申せ!」

「報告とは言って居りません!報復に来たと言ったはず」

 ロゴス将軍は素早く一閃、脂身の首を斬り落としていた。


 暫く何が起こったのか理解出来ないで、固まって居た脂身の衛兵が剣も抜けず声を震わせた。

「ロ、ロゴス将軍?気が狂ったか?」

「我はイリス王国将軍ロゴスなり!!ムタ辺境伯爵領は今現在より、イリス王国の領土になった!!不満の有る者はこの地から立ち去れ!イリス王により、シタエズ王は討伐されて居る!シタエズ王国は既に滅びて居る!!」


「ロゴス将軍、一つ聞きたい!ウエルズ王国に英雄が現れたと噂されて居る、将軍が仕えるイリス王が噂の英雄か?」

「是で有る!!」

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