第60話 男爵領の3村

 北町の食料事情が改善した、と言っても自生していたお米に里芋、えんどう豆に枝豆を食材許可を出しただけ。


 自生している物を住民が勝手に食う様になれば、食品税が取れなくなるとの愚政策を解除しただけで、住民の食料事情が改善されるなんて楽過ぎだった。


 男爵領の3村、手始めにロゴス将軍と精鋭100人を率いて、ゴヒン村に来てる。

 ゴヒン村長の出迎えで、村内に入った。

 一見普通の村に見えるが、村民の往き来が全くない閑散とした村だった。

「村長?村民はどうした?」

「春になるまで冬眠中で御座います」

「冬眠?熊じゃ有るまいし、人が冬眠出来るのか!!」


「冬眠は出来ませんが、食料を極力倹約し動かず、出来れば寝て過ごし春になるのを待っております…毎年永眠する村民は出ますが…これ以外方法が無いですじゃ!食べ物が全く無いのでは、どうしようも有りませんじゃ!」

 村長、終りの方は血を吐く様に言ってる。


 想像を絶する過酷さ、炊き出しに今後の食材採集を指導しないと絶滅しそうな村、良い所見せて今後の統治を楽にするぞ!


「村長、村民全員で何人だ?」

「赤子達も生きて居れば187人ですじゃ」

(187人…イヤナ村か…)

「全員炊き出し準備!作る食べ物は塩握りに豆スープ!」


 ロゴス将軍以外は、精鋭調理部隊100人、一斉に行動開始した。


 過酷な冬眠中にも関わらず、意外に多くが炊き出しを食べに出て来た。

 何でも良い、食べたい一心必死に出てきた様子が伺える。

 問題は食べたくても、もはや動く事も出来ず転がってる人達だ、弱りきった身体では、お握りみたいな固形物は受付ない、スープを少しずつ飲んで貰い回復するのを待つ。


 少しずつ食べさせるのは家族に任せ、炊き出し要員20名残し次のヒンス村に向かった。

 ノンビリしてると、ヒンス村住民が絶滅する!!

 行動を極力減らし、食べ物食べずひたすら春を待つ……そんなの人間の生活じゃ無い!!


 僕が率いる兵達、僕達と変わらない速度で走る様になってる?仲間になったと言う事?

 もし僕が国王になった場合、国民はどう変わるのだろう?

 もしかして、僕が国民を仲間と思ったら国民全てが超人に成るのだろうか?

「イリス王、ここがヒンス村で有ります!」

「……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る