第59話 レーズン酵母パン

 ブドウ畑は収穫は4ヶ月前に終り、寒々とした風景だ。

 いや、良く見ると何か粒々が。

「あの粒々は何ですか?」

「干しブドウで御座います」


 ブドウを収穫せずに放置、枯れるに任せて作る、レーズンってあんな作り方だったのか。


 ※レーズン発祥の素朴な作り方で、リアル現在は合理化された違う製法だと思いますが、60年前はカルフォニアで行われていました。

 カンゲイ世界での事なので、あくまで異世界の出来事です。


「レーズン酵母が出来る!ふっくらフワフワのパンが作れる!!」

 これも母さんに引き込まれ技術、一時毎朝焼き立てパンが出てた。


「イリス?お握りみたいな凄い食べ物、他にも作れるの?」

 レイラが嬉しそうに言ってる。

「凄いかどうかは分からん、けど今より美味しいパンが作れる」

「美味しいパン?」

「酵母作るのに、今の気候だと10日かかる…と思う」


 早速レーズン酵母作る事にした。

 作り方は簡単、砂糖水にレーズンをぶち込み、フリフリして一週間、ブクブク発酵すればレーズン酵母の出来上がり!

「……瓶が無い…竹筒水筒で出来るかな?」

 砂糖水を水筒に入れ、レーズンを入れ振った。

「イリス?それ、そのまま飲みたい!」


 レイラの要望で閃き、砂糖水にぶどう酒を風味付けに少し入れた、アルコール1%清涼飲料水を作ってみた。

「「「「「「「「「「イリス!これは美味しい!!」」」」」」」」」」

『主様、この飲み物飲むと元気になります!』

「ツミヒが、普通に飲み食いしてるの見ると不思議な気がする」

『ダンジョンを離れると、生物として機能する身体です』

「ダンジョン内では?」

『食べ物無いですから、DPダンジョンパワーで生きて行きます…今の方が幸せです』

 ジュースを飲んでるツミヒが、笑顔で言った。


 子供用の飲み物、ジュースが出来上がった経緯いきさつでした。


 ※『白銀しろがね黄金くがねも玉も何せむにまされる宝子にしかめやも』

 の句も、裕福な貴族だから唄えた言葉。

 実際の子の扱いは当時から、世界大戦の敗戦10年程まで、今では想像もつかない酷いものでした。


 カンゲイ世界、ゲンカイ村は特に酷かったけど、子供の為の特別な食べ物飲み物など世界中探しても無い世界、砂糖水増しぶどう酒は子供の飲み物として、急激に普及して行った。


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