第57話 国境警備隊

 調理が出来る兵50人を志願させ、厨房部隊を編成させた。

 厨房部隊には炊飯を指導、志願して来ただけは有る一度の指導で見事にご飯が炊け出した。

 三角握りも直ぐに出来る様になった。


 国境警備隊の駐屯所、北町に着く頃には、ベテラン飯炊きに成長してくれた。

 レイラやデイダの指導、道中の湿地に自生する米(茶麦家畜の餌とは教えない)の刈り入れに乾燥脱穀、精米を教えてくれてた。


 脱穀や精米は、厨房部隊以外の兵達も興味が有る様で、殆どの兵が指導を聞きに集まっていた。

 塩握りの旨さに魅了された結果だ。

 2000の兵が米食を広めて廻れば、食料問題も解決するだろう。


 更にヤギの飼育を指導した。

 勝手に草や木皮を食うヤギは、餌を与えなくても育つ非常に飼い易い家畜だ。

 ヤギ乳を搾乳し栄養豊かな乳飲を広めて、チーズやヨーグルトなど発酵食品も作れるように成れば良い……僕が作り方知らないから無理かも。


 いつも腹ペコだった僕ら、食い物探しに情熱を傾けたゲンカイ村での知識は、野生の食物を見付ける事に非常な能力を発揮する。

 米の様に自生する里芋にレンコン、それにサヤエンドウ豆、これ程豊富に有るのに何故食べようとしなかったのか不思議だ。


 シタエズ王国の食材は栽培した麦に、猟師が狩りをして販売する肉、それに酒造の為栽培されたブドウの3種類しか食べられて居なかった。


 勝手に何でも食べられると、食品税を取れなくなると、3品以外の飲食を禁じる貴族が多いためと聞く、王族に限らず貴族も滅ぼす必要があるようだ。


 国境警備隊の駐屯地、北町に到着した。

「イリス王!我が隊は、北町の統治者ムタ男爵の討伐に向かいます!討伐後イリス王国建国を告知します」

「国境警備隊の駐屯地なのにこの寂れ具合、ろくで無し統治者なのは予想出来る!僕達も討伐に向かう」



「これが男爵邸で有ります!」

「この屋敷だけ、不釣り合いに立派だな」

「建物は壊したり燃やしたり、なさらないよう願います!当分は仮王宮としてイリス王の住まいになります」


 ロゴス将軍が大声で宣告した。

「この北町はイリス王様が占領された!ムタ男爵!!出て行け!!」

「何を騒いで居る!食料に金を持って来たか?」

 私兵を引き連れた、太った男が状況が掴めずとぼけた事を言ってる。


 デイダがいつもの様に、門を飛び越え豚みたいに太った男を張り倒し、豚の私兵が反応する前に門扉を開いた。


「豚男爵は処刑する、私兵も抵抗するなら殲滅する!」

「降伏します!!」

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