六章 イリス王国

第53話 不穏な動き

「資金も物資も全く入ってこん様になった!どう言う訳じゃ」

「物資輸送20日遅れの、原因は調査中で御座います」

「余が自ら出城に出向き、弛んだ兵共を鍛え直して来てやる!」

「シタエズ王様が今出向かわれるのは危険かと思われます調査が済むまで、暫くお待ち下さい」


(このバカ王!出城だぁ、あの地はウエルズ王国領、盗賊にふんし略奪を行って居る無法な行為!いつまでも続く訳が無いだろう、ウエルズ王国軍に滅ぼされて居るで有ろう事は、調査するまでも無く既成の事実、今まで上手く行ったのが不思議なくらい無茶な計画だった。

 貴族共も勝手な事ばかりし居って、誰か国を変えてくれる英雄は現れんか!もう宰相職辞職したくなったぞ!!)

「しかし我が手の者、諜報員からも情報が途絶えたのは不思議だ、王都スラム街に上手く入り込んでいたはずだが、ウエルズ王国に英雄でも現れたか?」

(その英雄が、この国のバカ王と屑貴族共を掃討してくれないものか…)




 待てと言って居るのにバカ王、兵を招集し進撃してしまった。

「もう知らん!勝手に滅べば良い、5000の兵の食料で餓死する国民が出るぞ」




 シタエズ王は自国内の視察の感覚で、ウエルズ王国に進軍した。

 5000の兵と食料30台の荷車の進行は遅く、国境の山脈にある渓谷の通路は、荷車1台が何とか通行出来る巾しか無い。

 細く間延びした進軍は無防備な状態が10日続く、先頭が渓谷を抜けた1日目にウエルズ王国イリス侯爵を名乗る一団に襲われる。




『主様、ツミヒダンジョン周辺を巡回させて居たコボルトから報告がありました、5000程の兵が国境の渓谷を抜けて此方に進軍しているそうです』

「渓谷を抜けて来ると言う事はシタエズ王国軍、領土侵犯面倒だから盗賊の仲間として殲滅する!サロメ!ウエルズ王に伝言頼む!」

「王への伝言役は、私しか出来ないか…しょうがない大急ぎ伝言して帰って来る!敵は残して置いて」


 サロメは物凄い勢いで走って行った。


「近くが戦場になると畑が荒れる!迎撃に向かう準備は良いか!」

 皆が頷くのを確認、盗賊集団に向かい走った。


 超難易度のツミヒダンジョンで鍛えた僕達は、全力で走れば森の中領内なら端まで1日で着ける、ツミヒダンジョンなら半日で行ける様になった。

「見えた!全員金棒で行く」

「「「「「「「「「「「「おぅ!!」」」」」」」」」」」」

 まず口上。

「違法侵入の盗賊集団に告げる!ここはウエルズ王国、イリス侯爵領である!!」

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