第52話 塩握り
お腹が減った。
キャンプに行った時、無理矢理母さんに手伝わされた『飯ごう炊飯』今になっては有り難い日本の記憶だ。
母さん元気にしてるかな僕が居なくなって哀しんでるだろうか?
※閑話など入れて、折角の乗りと勢い、読んで下さっている読者の腰を折る行為は好きでないので軽く紹介。
転生でなく転移の場合、入谷 進の存在した痕跡は神どうしの取り決めで消されて居ます。
お母さんも息子を忘れて居ます。
マリとレインに
「お米は洗うんじゃ無い、研ぐんだ」
実演してみせる。
「先ずお米を軽く水洗いする、力を抜いて素早く米どうしをキシキシ研ぐ!水を入れてかき混ぜ濁った水を捨てる、これを3度繰り返せば透明になる」
マリとレインも同じように米を研いでる。
炊飯器の内鍋の水分量の印、それが無い飯ごうの水加減を母さんが言ってた。
「鍋のお米を、炊く時の水の分量は、指をお米の表面に触れさせ第二間接の位置まで水を入れる」
研ぎ終わり、みずを分量通り入れた鍋3つを火に掛ける。
上手く炊けるか内心ドキドキだ。
白い粥状の水分が溢れる。
我慢して眺める。
鍋の縁に垂れた粥状の水がパリパリになり焦げ出す。
本当はダメなんだけど、蓋を取って炊き加減をみた。
僅かに焦げた臭いがする。
「鍋の下から火を退けて」
10分程蒸らす。
蒸らしは母さんがくどい程言ってた。
お米を研いだ時手も綺麗になってる。
「塩握りを作ります、手を水に浸ける塩を摘まんで左手に乗っける!お玉でご飯を掬って!見てて」
母さんとお握り作った時は手のひら火傷しそうだったけど、そんなに熱くない。
結構上手に三角塩握りが出来た。
三つ作って3人で食べた。
マリとレインは家畜の餌って事で抵抗有るのか、恐る恐る口に入れた。
「「美味しい!!!」」
「でしょ!塩握り美味しいだろ!」
ご飯の炊き加減、塩の塩梅もちょうど良い。
「そうか!過酷な農作業で手の皮ごつくなってる!それで熱く無かったのか」
皆が集まって来た、マリとレインも塩握り作って、皆に配ってる。
「美味しい!!イリス、これがカレー?」
「これは塩握り、一番簡単だけど、炊きたてご飯の食べ方では大好きな料理だよ」
「この茶色くなったの香ばしくて美味しい!」
「お焦げご飯の塩握り、一味違うでしょ!」
「イリスがこんな料理上手とは知らなかったよ!」
「お米のご飯限定だけどね!」
「凄いよ!家畜の餌を美味しく食べれる調理が出来るって」
この調子なら明日の炊き出しで、イリス領地の主食がお米に代わるだろう。
炊き出し準備にイリスクラン全員に、塩握りの特訓をした。
ツミヒが思いの他上手に三角塩握り作ってた、全くダメダメなのはピサロ一人だった。
翌日詰め掛けた住民に、ピサロ以外の13人で頑張って塩握り作ったが全く人手が足りない。
見兼ねたのかご婦人達が加勢してくれて、塩握りを作ってくれてる、後ろで僕達は何度も何度もご飯を炊いた。
朝10時から始めた炊き出し、日が暮れる頃にやっと終った。
加勢してくれたご婦人達にお礼と、銀貨5枚ずつ配って恐縮された。
町の住人殆ど集まってくれた。
今出来てる3村にも炊き出しして回る事に決まった。
高価な麦より無料同然のお米、主食推進の成果は有ったようだ。
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