第44話 賑わう1の町

「えぇ?お母さんで無く私がイリスクランに入るの?」

「私も悔しい決定よ!」


 リュウサが僕達のクランに入った。

 武器は買わなくても、12歳の祝にサロメさんが贈った剣を持ってた。

「リュウサもメイン武器は弓にして!」

 素質を見極めるのはナオの能力、指示に従った方が良い結果になる。

 全員でサロメさんお勧めの武器屋に向かった。


 ちょっとした嫌がらせ?サロメさんは、自分がやっと引ける剛弓を選んで渡してる。

 クランのメンバーになって、リュウサも僕達と同じ強さになってるはず。


 リュウサは軽くつるを引き、矢を的のど真ん中に当てた。

「何?リュウサ?いつの間に弓の練習した?」

「今初めて触ったよ?」

「……ギンタを脅してでもイリスクランに入る!!」

 サロメさんが恐ろしい事言ってる。


「イリス様!私もクランメンバーに入れて下さい!!」

「ぼ、僕は上級冒険者のサロメさんが入ってくれるのは、心強いけど王都冒険者ギルド、ギンタさん一人で大丈夫ですか?」

「受付主任と買い取り主任が居れば、ギルドは問題無く機能します!ギンタ、ギルマスも不要!!」


 僕のクランに娘のリュウサが選ばれ、自分を外したギルマスを凄く恨んでる。

 剛弓と小拡張矢筒に大拡張収納袋を購入、これだけで金貨50枚…王都は物価が高い。


 本当はこれでも、サロメさんの顔で凄い割引してくれてる、相変わらず金銭感覚の無いイリスです。


 王都冒険者ギルドに帰ってからが大変でした。

 サロメさんが粘りに粘り、ギンタさんがあきらめツミヒダンジョン探索が終るまでの限定クラン入りを認めた。

 クラン入りして上がった能力が、クランを脱退するとどうなるか僕も知りたい、ギンタさんナイス決定!!



 王都防壁門を通過、馬車より走った方が速いって僕達は走り始めた。

 サロメさんとリュウサさんは、首をかしげながら着いて来てしばらく走り分かったようだ。

「何これ?羽が生えた様に身体が軽い!」

「いつまでも走って居られる!速い!!」

 そうだよね、この感覚は走ってみないと得られない、快感でしょ。


 王都に来てからの数々の王命をこなした僕達は、砦を潰しながら来た時よりも更に力が付いたよう、1日半の距離だった8番砦夕方に着いてしまった。

「あれれ?人が沢山、凄くにぎわってる?」

 砦の回りに家が建ち並び、都市のように賑わい砦の防壁まで広い道が通ってる。


 こちらを見てる人達は皆お辞儀してる、僕にではなく後ろにお辞儀、皆の視線の先は……ナオか「成る程住民は王都スラムからの移住者達か」

 お爺さんが走って来た。

「ナオ様!指示通り町にしました!」

 僕は知らないが、シタエズ諜報員から救った人のようだ。

「ゲンさん!流石大工の頭領!予想以上で感激したよ!!」

「隣の7番砦と6番砦も村になったぞ」


「ギルド指名依頼済ませて、見せてもらうね!ここ1の町冒険者ギルド出来てる?」

「ギルドマスターも居るぞ」


「ナオ?これはどう言う事?」

「ゲンさんは一番最初に助けたスラム住民、家がスラムなのに立派過ぎるので、聞いたら元大工の頭領だって!

 門の近くの冒険者ギルド以外、移住者が住良い町を作ってと頼んで置いた」

「ナオ!有り難う!!お手柄だよ!」

「不都合は後で直せると思い、ゲンさんに任せっきりだったのに、私もビックリの良い仕事してくれた」


 冒険者ギルドはハンエイ町のギルドより立派な建物だった。

「凄い!立派!!この町のギルドマスター希望しよう!!」

「駄目よ!母さん!私がギルドマスターに就任したの!」

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