第32話 王都スラム街

「ナオさん、何か恐い」

「皆同じ准男爵だから、ナオで良いよ、恐がる必要無い私達に勝てる者居ない」


 と言いながら、ナオは事務所風の建物に入って行った。

 遅れて私達も後を追った。

「嬢ちゃん?何か用か?」

「シタエズ王国、諜報員の詰め所を壊滅しに来た」

 ナオの言い方、完全に喧嘩売ってる。


「嬢ちゃん!面白い事を言う、スラムを牛耳るゴラム会の事務所と知って言ってるか?」

「諜報員は『死して屍拾う者無し』闇に生まれ闇に消えろ!」

 ナオは問答無用と相手を斬り捨てる。

 部屋に居た10人は瞬殺された。


「リタ、遺体は外に積み上げて置いて、必要な物を住民が奪って数時間で丸裸になった遺体も無くなる」

 お金はあまり貯めて居ない、20枚程の金貨のみ回収、銀貨や銅貨はこの後家探やさがしする者のために残して置いた。


「次に行くよ!」


 人集ひとだかりは何事か?覗いてみた。

「税が払えないなら、この家は没収だ!」

「おい!お兄さん?税が払えない者が暮らすスラムで、税の取り立てとはどこの者だ!」

「嬢ちゃんは引っ込んでろ!税の代わりに奴隷商に売っぱらってやろうか!」

「ゴラム会の手の者なら、事務所は潰した!お前達シタエズ王国の諜報員は生かして帰さん!!」


 この男もナイフで殺してる、刀は汚すのが嫌で使わないくらい大切にしてる。


「有り難う御座います!ゴロツキ殺してくれて助かったぞ!」

「遺体の持ち物、早く抜き取らないと無くなるよ」

「お嬢さんは、取らないのか?」

「悪人狩りしてるだけ、持ち物に興味はない」

「有り難う!じゃぁ遠慮無しに剥ぎ取るぞ!」

 お爺さんに見えるが、話し方から意外に若いのか、年齢不詳の男が死骸から衣服を剥ぎ取ってる。

 持ち物はナイフに小銭、収穫は些細な物だったが、嬉しそうにお辞儀しながらお爺さんは家に入った。



「スラム街は、シタエズ王国諜報員の巣窟になってる」

「酷い状態になったスラムから、何で逃げないのでしょ?」

「一度スラムに入ると抜け出せ無い、スラムの人間信用ならんと誰も雇わない、お金が無いから盗み掻っ払い詐欺等犯罪を犯す、犯罪者は信用されない、悪循環で余程の幸運が無い限りスラムから抜け出せ無い」


 スラム街の住民の目の前で、諜報員狩りを実行して回った。


 たった3日諜報員狩りを行っただけで、スラム住民からの絶対的信用を得られた。

「お嬢さん達、何でも良いから仕事斡旋して貰え無いか?」


「そうね…今ある仕事は農作業と各種職人、職人は腕が良い悪いは関係無い広く募集中」

「「「「「勤め先は安全なのか?」」」」」

「英雄イリス子爵様の新領地、今なら住まいに作業場、畑も無料支給される」


「英雄イリス子爵様?聞かない名だな?」

「盗賊の森の盗賊を全滅させた子爵様だよ」


「「「「「盗賊を殲滅?盗賊が居なくなったのか?」」」」」

「そうだよ、私達で殲滅して来た、1050人の盗賊皆殺しにしたよ」


 聞いてた住民が皆移住希望して来た。

 元大工が多い、家具職人も居る、農家希望が少ない。

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