第31話 盗賊は潰したよ

 移動しながら公爵が説明してくれた。

 ハンエイ町の領主は公爵の次男で、巨大なビッグボアの毛皮牙に魔石を献上、ダンジョン含む領地管理の功績で男爵から子爵に昇爵したそうだ。

「全てイリス殿がもたらしてくれた実績だ!感謝の意味を含めお礼と領地持ち子爵就任祝いに、管理人付きの屋敷を進呈する」

「は、はい!有り難う御座います!」


 この後馬車で案内され、公爵から祝いで貰った屋敷の豪華さに驚く事になる。


 会議室には僕達以外は、国王様にハンエイ公爵様二人だけ。

 内密な話のようだ。

「イリス殿達は若いが、想像を絶する修行をされたようだな!決闘の圧倒的勝利を見れば分かる」

 非公式の場だからか、王様砕けた口調だ。


「イリス殿に指名依頼を受けて貰いたい!盗賊の森を通って来たなら分かるで有ろうが、街道に出没する盗賊に手を焼いて居る!イリス殿には盗賊を殲滅して貰いたい、期限は無いいつまで掛かっても良いのでお願いしたい!

 報酬は盗賊の森全てを領地とする子爵昇爵だ!勿論オーボウ子爵領もお主の領地だ」


「国王様!盗賊の森に設置された7つの砦は全て潰しました、シタエズ派遣兵1050人全て殲滅しました」

「何じゃと?いつの間に潰した?」

「オーボウ子爵が盗賊の森を通って行けって言ったので、盗賊退治しながら王都に来ました、通行の邪魔になる砦を順に潰して来たら10日も掛かりました。

 8番砦は国王様が殲滅されたとか、廃墟がありました」


「上級冒険者とは予想もつかん事をする、通行の邪魔と言って強固な防御の砦を潰しながらやって来たのか…僅か10日で全て殲滅、凄まじい!!ハンエイ公爵どうすれば良い?」


「盗賊の森全てイリス男爵の領地とし、領地運営を見て子爵に昇爵と言った所が落とし所かと」

「その案で行くか…それにしても、全て殲滅したか?シタエズ派遣兵とはどう言う事だ?」

「数名生け捕りにしてナオ達が尋問した結果、盗賊に変装してウエルズ王国の富と食料を強奪、本国シタエズに輸送する尖兵と言う事が判明しました。砦8ヵ所全て同じ規模の同じ構造の兵舎になって居りました」


「何と!その情報だけでも男爵昇爵の価値があるぞ!!」

「そうですな、盗賊殲滅で男爵、シタエズ派遣兵の情報で子爵、領地繁栄の功績で伯爵と昇爵させるのが良いと思われます」


「明日の謁見で子爵まで昇爵させるぞ!イリス殿ウエルズ王国のため、今後も奮励ふんれい願いたい!」




 次の日の謁見で僕は子爵に、他のメンバー全員准男爵に昇爵した。

 領地になった『盗賊の森』改名イリス子爵領だけど、王都に近い第8砦を町にする計画を皆で練った。

 ナオがリーダーでリタにマリとレインの4人がスラム街に潜入、細工をし領民選抜するそうだ。


 僕達7人は第8砦に向かい、建物の補修に畑作り作業頑張った。

 修復しながら思った「建物は完全な兵舎、住居にはなるが商店や職人の家が無いね」

「大工を募集しないと、僕らだけでは限界がある」

 デイダの発言で初めて気付いた。



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