第30話 決闘

 王様はゴーマン伯爵とオーボウ子爵に含む所が有る様で、決闘はとんとん拍子に決まった。


 オーボウ子爵は王命反逆罪の裁き、決闘に勝てば無罪とする。

 との取り決めで決闘、負ければ犯罪者、領地爵位を没収し勝者に与える。

 ゴーマン伯爵の悪足掻き「勝利しても旨味の無い決闘だ、儂が負ければ領地と爵位を王にお返しするが勝利した場合、金貨5000枚この場に保証金として積み上げよ!それが出来てから決闘する」


 即その場に金貨5000枚ジャラジャラ積み上げた。

 ゴーマン伯爵、まさか即金で準備されるとは思いもしなかった様で、目を剥いて驚いていた。

 ふん!見栄だけの貧乏貴族め!上級冒険者舐めるなよ!


 ナオがコッソリ耳打ちしてきた。

「イリス、オーボウ子爵は殺して!生かして置くと後々祟られる!私もゴーマン伯爵を殺す!!」

「上級冒険者の圧倒的強さを見せ付けて、有象無象の貴族どもに難癖付けられ無いようにするよ」

 心の奥で、穏便に済ませ皆仲良くって考えが浮かぶ……日本人の考え方かな?穏便には済ませられない状況、うやむやに終らせると今後活動出来なくなる!

 踏ん切りを付けて非情になる!!


 闘技場に移動した。

 大勢の貴族に国王様も見届けてくれるようだ。

 決闘は剣以外の武器は認められない。

 オーボウ子爵はイライラした様子で剣を抜いて構えてる。

 僕も剛剣を抜いた。


「私ハンエイ公爵が勝負判定する!!両者始め!!」


 構えただけでオーボウ子爵動かない。

「斬り易い所に行ってやる!」

 僕はオーボウ子爵の間合いに入った。

 慌ててオーボウ剣を振り下ろして来た。

「のろい!」

 剣がユックリ降りて来る、剣筋を見切り右に僅かに体を開く。

 オーボウの剣が空を斬り地面を叩き付けた。

 拳をオーボウ子爵の心臓に、力を込めて一撃した。


 心臓が破裂したオーボウ子爵は、ブハっと血を吹き出し崩れ落ち絶命してる。


「勝者イリス准男爵!」


 何が起こったか理解出来ない貴族ども、ただ一人国王様が盛大に拍手してくれた。

 僕はハンエイ公爵に一礼、国王様に深々とお辞儀して退場した。


「続いてゴーマン伯爵とナオ騎士爵の決闘を執り行う!両者中央に!!」

 ナオは中央に躍り出た、ゴーマン伯爵は渋々と言った感じで、モタモタ中央に立った。


「準備は良いか?決闘始め!!」


 始めの合図で、ナオはゴーマン伯爵に一瞬で詰め寄った。

 例の刀を抜刀、瞬間ゴーマン伯爵の胴が切り裂かれ、血を撒き散らし上半身が落ちて居た。

 血が溢れる下半身はまだ立っている。


「しょ、勝者ナオ騎士爵!!」

 ナオは懐紙で丁寧に血を拭き取り納刀した。

 今度も国王様唯一人、盛大に拍手してる。

「ナオ騎士爵!調査結果を報告したにも係わらず、不敬罪とされ身分剥奪犯罪奴隷として売られた無念を、見事討ち払った!天晴れであった!!」


そうか!ナオを犯罪奴隷として売り払ったのは、ゴーマン伯爵だったのか。


「オーボウ子爵は反逆罪で爵位領地没収!ゴーマン伯爵も本人申し出に寄り爵位領地没収とする!

 オーボウ子爵邸もゴーマン伯爵邸も、王命で関係者を排除し浄化して置く」


「イリスパーティー全員、この後会議室にて王命依頼を聞いて貰う」

 ハンエイ公爵が会議室に案内してくれた。

「息子の領地を救って貰い感謝する」

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