第3話 レイラに読み書きを習う

 冬は麦踏み以外は家の面倒な雑用を押し付けられる。

 面倒な雑用を押し付けられるのはいつもの事だけど。

 いつも思う次男三男や女の子は奴隷扱いだ!何だと思ってる!

 不満は大人に言わないけどね。


 僕達は随分要領が良くなっていて、空き時間は結構作れるようになった。

 剣術練習も実地訓練、内緒で森に頻繁に入りゴブリンを討伐して魔石を集めたり兎を倒し、3人で食べたりしていた。

 魔石も村に訪れる冒険者に、こっそり格安で買って貰い銀貨もそこそこ貯めている。

 そんなある日唐突に胸を反らせたレイラが僕達に言った。

「イリスにデイダ、読み書き出来る?」

「な、何を突然に?習ってないもの出来る訳無い」

「えへん!お姉さんがバカなイリスに読み書きを教えてあげる!」


 またレイラが姉さん風吹かしてる。

「そんなの必要無いよ剣術練習の方が大切だよ……」

 僕は読み書きを覚えたらしいレイラに、チョッと嫉妬してひねくれてみた。

「ちっちっ!戦う事以上に読み書きは大切よ!お姉さんが大切さを説明してあげる!」

 レイラは薬師のお婆さんに読み書きを教えて貰ったようで、僕達に自慢したいようだ。

「良い?文字が書けなくっちゃ冒険者登録用紙に記入出来ないよ!」

「そんなの代筆してもらえば良い」

「代筆手数料取られるよ!」

「お金で出来るならやって貰う!冒険者の仕事頑張ってお金を稼いだら問題ないよ」

「冒険者の依頼票張り出されたの読めないと仕事出来ないよ!」


 言い合でレイラに勝てる訳無い、結局僕らは言いくるめられ読み書きを教えて貰う事になった。


 読み書きって大変だと思ってたけど予想外に簡単に覚える事が出来た。

 基本文字は言葉に合わせた48文字しかなく、その組み合わせで文章にする。

(いろは、48文字と一緒だ……ん?いろはって何だっけ?…あぁ夢の話か…漢字が無いから文章読みにくい)


 勿論レイラが複雑な論文が読める訳が無く、僕らも習った事しか読み書き出来ないけど、レイラに秘かに感謝した。

 面と向かってお礼なんて言わないけどね。


 僕らは魔物を倒す事のパターン化が成立している。

 すばしっこいデイダが向かってくる魔物の脚を強打する、倒れた魔物の頭を死ぬまで僕とレイラがタコ殴りする。

 ゴブリン程度は簡単に討伐できるようになり、読み書き出来る強みも持てた。

 12歳になる前に、隙を見て逃げ出そう!!

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