第2話 過酷家の手伝い

 僕は6歳になった。

 身体も一回り大きくなり、剣術訓練頑張るぞ!!と張り切ってた。

「イリス!お前も6歳になった。今日から畑の草むしりやってくれ!」

「えぇ~?」

 そう言えば、僕達より年上の子供達が遊んでるの見た事無かった。

 日中暇そうにしてる子供達は、全て各家の長男達だけだ。

 しょうが無い!さっさと済ませ練習するぞ!

 不満を言っても録な事にならない、僕は素直に農作業を始めた。


「おい!イリスそれは苗だ!雑草と苗も分からんのか!!」

 父さんの監督つき、草取り作業途中なのに終らず夕飯の時間になってしまった。

「疲れたけど、夕飯まで30分程時間がある!」

 練習場に行くと集まったのは僕とレイラそれにデイダ君の3人だけだった。

 レイラもデイダも疲れた顔をしてる、僕も同じ様に疲れた顔をしてる事だろう。

 木刀を軽く打ち合って、30分はあっと言う間に過ぎてしまい解散になった。


 冬になると霜柱で麦の根が傷まないよう麦踏み以外仕事が無くなる、ここぞとばかり剣術訓練を頑張った。

 8歳になった。畑の草むしり以外に麦畑1枚を完全に任された。

 剣術訓練は夜がふけてから3人集まり愚痴を言い合う集まりになってしまった。

 それでも僕とレイラ、デイダは毎日集まり剣術訓練を遣る気だけは続いた。


 ◈◈◈

 7歳位から小刻みな変な夢を見るようになった。

 内容はおぼろげだった、ピカピカ綺麗な世界で同じくらいの子供が30人くらいいる部屋で大人の女の人から何か教わってる、違う夢では綺麗な部屋食堂?で大人の男女と食事をしてる、食事は見たことの無い不思議な食べ物に飲み物、長い黄色の果物まである異常なご馳走だった。


 辛くてきつい仕事から逃げ出したい気持ちが幸福な夢として現れたのだろう。

 ◈◈◈


 10歳になった。

 全ての畑の草取りに麦畑2枚作業が増えたけど、農業も効率良く行えるようになって余裕が出来た。

 内緒で日中3人集合し、隠れて剣術訓練出来るようになった。

 勿論親にバレると仕事を無茶苦茶増やされるので、練習場所は村を出た森の中だ。


 森にはたまにゴブリンがうろついてる。

「おっ!ゴブリンだ!」

 僕らが気付くと、当然ゴブリンも僕らに気付く、バカなゴブリンは僕らを上等な餌さとしか見ない、即突進して来た。

 まず足を狙って、こん棒を振る。

 上手くヒットしてゴブリンがズザッと倒れる、レイラにデイダが頭を交互にタコ殴りゴブリンが死ぬまで殴り続ける。


 きつい農作業と剣術訓練で僕達3人は異常にたくましくなって行った。


 やっと冬になった。

「剣術訓練を気兼ね無くやれる」

 そんな僕達に2歳上のイズル君とヤツデ君が訪ねてきた。

「お前達感心だな!家の手伝いで俺達何も出来んかったが、やっと12歳になった」

「俺達これから家出して冒険者ギルドに行き登録して冒険者になる」

「自分で開拓せんと麦畑も畑も兄貴の物、この村に居ると俺達には農奴みたいな暮らしが待ってるだけだ!」


「あぁそれは僕も感じてた、5歳上の兄貴の奴仕事は僕任せで既に僕の事農奴扱いだ、レイラもデイダも同じような立場だ、僕達も12歳になったら内緒で家出して冒険者になるよ」


「イリス!ウエルズ王都の冒険者ギルドで待ってる!2年経ったら必ず来い!!」


 12歳は丁稚奉公でっちぼうこう下働きの就労年だ、家出等で親の手の届かない所に逃げる事が出来れば、自由の身になれる。

 次男三男が12歳過ぎてうかうかしてると、良くて農奴、飢饉等最悪の場合奴隷商人に売られ悲惨な末路を迎える事になる。

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