第10話 奴隷商での出合い

 宿泊施設は村で寝起きしていた環境と比べ、ベッド3つと文机がある清潔な部屋は僕達には、とっても豪華に感じた。

 ギルド酒場で晩飯って言われたけど、燻製肉を竹筒水筒の水で流し込んだ。

 塩を使って無い燻製肉は美味しくは無いけど、不味くもない。

 僕達の育ちのせいだね、貧乏臭い行為だった。

 ふかふかの気持ちいいベッドに満足して、僕達は久し振りにグッスリ眠た。

 幸せな日本の夢も見れた、ダンジョンに入るゲームで遊んでた夢だった。


 気持ち良い睡眠って当たり前みたいだけど、僕達に取ってベッドで寝たの初めての経験だった…初めてだよね?普通にベッドで寝ていた…日本の夢の話だった。



 トントン部屋にノックの音が響く。

 安心して気持ち良くって、眠過ぎたようだ。

 ドアを開けると、ピサロさんが笑顔で言った。

「おはようございます!朝食を食べてから奴隷商に案内します」

 今の時間ギルド職員が忙しいのを知ってる、あまり待たせるのは悪い。防具を外しただけの僕達は、直ぐに準備が整った。

「ご免なさい、お待たせしました」

 ギルマスとピサロさんの親切に甘えて居るようで、申し訳無い気持ちで一杯だ。


 ギルド酒場に案内されたので食べない訳に行かない、スープとパンを注文した。

 ピサロさんも同じ物を注文していた。


 村では薄い塩味の麦粥むぎがゆがいつもの朝飯だった。

 出てきたスープは、肉がゴロゴロ入った野菜タップリ、ミルクで煮込んだ物凄く美味しいものだった。

 パンはバスケットに盛られて食べ放題だって

 いくらお金を取られるのだろ?少し不安になったが、ふわふわパン美味しくていくらでも食える。

 みっとも無いが目一杯腹に詰め込んだ、レイラもデイダも同じようにガツガツ食ってた。

 お金を支払おうとすると「ギルド経費です」ってピサロさんに言われ酒場を出た。

「「「ごちそうさま」」」

 ピサロさんが優しい笑顔を向けてくれた。



「奴隷商はこちらです」

 若い冒険者向け娼館などの繁華街が続き、かなり奥間った突き当たりが奴隷商だった。

 奴隷商ってイメージ悪いけど、入るのに抵抗ない普通の建物だった。

 ドアの守衛が居て、厳重なやり取りがあって、簡単には入る事が出来ないと思ってたけど、ピサロさんはドアを開け商館にづかづか入って行った。

 ピサロさんに続いて僕達も入った。


 入った所は待ち合い室の様なロビーになっていて、丸テーブルが二つ商談コーナーになって居るようだ。

 ピサロさんはカウンターに向かった。

 カウンターの丸顔店主が立ち上がって、深々とお辞儀しながら言った。

「サブギルドマスター様、来店して下さって有り難う御座います!!」

(えっ?ピサロさんってサブギルドマスターだったの?)

「これはギルドマスターからの紹介状!読めば来店理由がわかる!」

「拝見致します」

 店主は真剣に読んでる。


「了解しました、ご案内します」

 ピサロさんを先頭に僕達も奴隷商店主に着いて言った。

「奴隷って檻に入れられて居るんですね」

「こちらは犯罪奴隷で御座います」

「犯罪?それで檻に?」

「その通りで御座います」


「お探しの奴隷はこちらになります」

 檻を通り過ぎた所にある部屋に僕達は案内された。

 店主は丸顔に相応しいポッテリ丸っこい手で、ドアノブを回し部屋に入って行った。

 僕達が入ると部屋の住人から声が出た。

「イリス?レイラ?デイダ?」

「本当だ!イリス君達も奴隷に売られた?」

「「「あっ!!ロイ君にミット君……」」」


「男性二人、別の部屋に女性が二人居ますが、全員購入で宜しいですか」

「4人でいくらになる?金額しだいだ!」

「ギルドマスター様のご紹介、サブギルドマスター様の引率…金貨4枚にベンキョウさせて頂きます」

「ゴウツ?儲け度外視じゃないの?」

 ピサロさんが言うくらいだから、破格の低価格なんだろう、金貨4枚なら余裕で支払い出来る。

「いえいえ!僅かですが利益は出ますです!それよりそちらのお三方、幼い感じなのに既に中級タグを着けていらっしゃる、今後も戦闘奴隷のご購入は是非当店でお願いします!!」

「機会が有れば購入に伺います」

 僕が答えると丸顔店主満足そうにお辞儀してきた。

「それでは商談成立いたしました、奴隷は準備させてお渡しします!ロビーで暫くお待ち下さい」



 僕達はロビーで待ってる。

「ロイにミットは納得、あの親なら躊躇無く奴隷に売り飛ばす」

「女性二人って誰でしょう?」

「レイラと仲良く出来る子達なら良いけど、女の子とは話した事が無いな」

「これから鍛えるの大変かも」

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