第9話 ギルド指名依頼

「今夜の宿だけど、ギルドのお姉さんに良さそうな宿を教えて貰った方が無難だと思う」

「そうね、防具屋みたいな相手を見て吹っ掛けされるの嫌だよね」

 夕方にはもう少し時間は有るが、早目に動いた方が少し寒くなって来ている、もう野宿はしたく無い。


 冒険者ギルドは夕方で混雑していた。


 混雑解消の為か、登録カウンターのお姉さんも事務処理仕事してる、僕達は最後尾に並んだ。


 なかなか列は進まない、僕達の後ろにもかなりの人がならんでる。

 僕達の前に2人のおじさんが割り込んできた。

「おじさん?割り込みしないでくれます?」

「「あぁ~っ!ニューピーが何か言ったか?」」

 振り返った男2人の首には木のタグが着いてる

「どっちがニューピーだ?初級2等」

 僕は銅製の中級タグが良く見えるようにした。

「ん?ちゅちゅう、中級?」

 2人の男はスゴスゴ後にまわった。

(よっしゃあ!!いい加減に決められたようなギルド階級だったけど上のランク目指して、魔物を倒してお金を稼ぎどんどん上の階級になれば大人にだって負けない)


 騒ぎに気付いたお姉さんが、大声で言った。

「あっ!イリスさんギルドマスターがお呼びです」

「ギルドマスターの部屋に行けば良い?」

「ギルド指名依頼がイリスさんのパーティーに入っています、その件の説明です!!」

「「指名依頼だぁ!」」「イリスって聞かない名だな」「おっ良い女連れてる!」「うらやましい!あいつら稼ぐぞ」

 ガヤガヤ騒がしく話す冒険者達を後に、僕達は列を外れ通路を通りギルマス室に入った。


「呼び出しに応じ参りましたイリスです」

「ご苦労座ってくれ」


「ギルドマスター、お茶を用意しました」

 受付業務忙しいだろうに、僕達にお茶を用意してお姉さんが入ってきた。

 配ってくれたお茶はとっても美味しかった。

 思い返せばお茶なんて飲んだの初めてだった。


「ピサロもそこに腰かけてくれ」

「はいギルドマスター」

 お姉さんの名前ピサロって言うんだ、名前知らなかった。

「イリス君、君達に指名依頼だ!内容はピサロ説明を」


「ハンエイ町の北に『迷いの森』と言うダンジョンの有る森が在ります」

 迷いの森って大袈裟な名前だけど、普通の森らしい。その森にダンジョンから溢れた魔物が増えて居るって。

「今回は溢れた魔物の討伐依頼です、ダンジョン産の魔物は倒すとアイテムを残して消えます」

「成功報酬だが、2等昇格と金貨20枚、成果確認をギルド職員が行い報酬を与える」


「その前にギルドマスターから紹介状です、イリスさんのパーティーに戦闘奴隷を買って増員して下さい」

「戦闘奴隷…ですか?」

「明日私が奴隷商に案内します」

「はい……」

「今日はギルドに泊まると良い、3人一部屋じゃがベッドは三つある晩飯はギルド酒場で適当に食ってくれ」


 一番の問題、今夜の宿が決まった。

 ピサロさんがギルド宿泊施設に案内してくれた。



「皆、寝る前に聞いてくれ!武器に防具とか思いの外良い物が買えた、明日の事戦闘奴隷なんて買うの嫌だよね、良い人が居なければ無理に買う必要無いと思う。

 いよいよ僕達の冒険者活動が始まる!頑張ってどんどんランクを上げて行こう!!」

「「頑張ろう!!」」


 不安はいっぱい有るけれど、僕達の冒険が始まった。

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