第8話 防具屋

 武器屋の隣に防具屋があった。

「防具は大切、命を預ける物って冒険者達が言ってた、入って見る?」

「「入って見る!」」

「おっ!いらっしゃい!!」

 武器屋と大違い、防具店主に何か無茶苦茶フレンドリーに迎えられた。

「新人さんが防具選びですか?初級3等木のタグ…じゃ無い!中級3等タグ?おぅ!中級祝いに防具を新調するって所か!!では、こちらをお勧め!金貨20枚で……ありゃ?剛剣屋の店主何かご用で?」

「儂の店で武器を買ってくれた、次は防具選びと思いやって来た」

「ん?剛剣屋さんのお知り合い?」

「この3人は今日ギルド登録して、いきなり中級タグが発行された、ギルドマスターお気に入り希望の新人だ!防具屋その安物金貨20枚と吹っ掛けか!!」

「あっ、いや、その……」

「お前さんがどんな商売しようが勝手じゃ、儂はとやかく言わんが!この3人に詰まらん真似をしたら容赦せん!!」

「ひ、ひぇ~~」


 防具屋の店主を見て、僕はなぜかホットした。

(これが普通の大人だ、にしてもギルドマスターや剛剣屋の主人の本音、子供の僕には探りようが無いけど、気を引き締めて仲間の為にも変な事にならないよう気をつけよう)


 防具屋、あーでも無い、こーでも無いと悩んでる。

 僕達の後ろで武器屋の店主が睨みを利かせてる。

 最終的に鎖帷子の鎧下に硬質革鎧に決定、素早く3人のサイズ調整が終った、防具屋店主腕は良いようだ。

 ただ商売に対する姿勢に難が在るようだ。

「一セット…き、銀貨…ご、さ、3枚で!」

「冒険者ギルドのギルドマスターに睨まれない妥当な金額だ、鎖帷子くさりかたびらは先物投資だな」

「へ、へい!鎧で違和感を感じましたら、いつでも調整致します!です」

 金貨1枚支払、銀貨1枚のお釣りを貰い、武器屋店主にお礼を言って店を出た。


 ***


「防具屋!あの3人は尋常で無い鍛え方をして居る!見ておれ直ぐに上級に昇るぞ!今後の事を良く見据えて商売せよ!!」

「は、はい!剛剣屋さん、ご指導有り難う御座います!!」


 ***


「ギルドマスター?あの新人達に凄い肩入れされて…ギュンタ様らしく無いですよ」

「2年前の後悔だ」

「2年前?」

「2年前、イズルとヤツデの新規登録した…忘れたか?」

「?あぁ!登録して直ぐに亡くなった」

「あの二人もゲンカイ村から夜逃げして来た、イリス達3人と同じ過酷な村から逃げて来た者だった…もう少しあの時上手くフォロー出来て居れば、あの二人は死ぬ事は無かったと今でも後悔して居る」


「そう言えば、ゲンカイ村から奴隷が出荷されたと聞く、あの3人も逃げて来なければ奴隷として売られて居たのであろう…もしかすると奴隷商が仕入れた奴隷にイリス達の友達が居る?」

「ギルドマスター知らせますか」

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