第7話 格安収納袋

「「「金貨110枚!!」」」

 見たことのない大金にニマニマが止まらない。


 部屋に入って担いだ燻製肉を置かせて貰ってる、僕達の大荷物を眺めながらギルドマスターが言った。

「お前達格安収納袋買う気は無いか?アイテムバッグが人気にんきで、持ち運びに不便な収納袋は人気にんきが無くて30立方メートル収納で僅か金貨20枚だ。3個纏め買いなら金貨50枚にまける!」

「欲しい…3個買う!」

(拡張された収納袋普通に有るんだ凄い!マジック袋3個で金貨50枚は安い…金貨60枚まだ残る武器を買ってもまだ余裕だ)


 金貨50枚支払って収納袋を手に入れた。

 3人1つずつ手に取って、取り合えず燻製肉を収納してみた。

 いくらでも入る、40㎏の燻製肉が全て入った。

 収納袋を持って見ると、ちっとも重くない。

「凄い!!収納袋ってこんなに凄いものだったの?」


 お姉さんとギルドマスターが微笑ほほえんでた。

(この子達苦労して来たのだろう、収納袋本当は金貨50枚以上するがあの大荷物見ると助けてやりたくなる、春になるまで滞在するとの事、旅立つ迄には損失以上貢献してくれるだろう)


「お前達武器は腰にぶら下げてるこん棒だけか?よくもそんな貧弱な武器でビッグボアを倒せたものだ!中級者に相応しい武器を買う気はあるか?」

「「「はい!この後武器屋に行って購入します」」」

「それならギルドの向かいにある武器屋に行け、儂が紹介状書いてやる」



 紹介状を貰い、お礼を言って向かいにあると言う武器屋に向かった。


 向かいの武器屋は、冒険者ギルドに気を取られ見て無かったが物凄く立派な建物で、僕達入るの気おくれする程だった。

 恐る恐る扉を開いた。


 店内は意外と明るかった。

 カウンターの奥で、気難しそうな店主が無言でジロリと睨んだ。

 思えば僕達初めて店で買い物するんだ。

「冒険者ギルドのギルドマスターの紹介状です」

 店主に紹介状を出すと、無言で受け取って読んでる。


 読み終わり、店主は紹介状を丁寧に折り畳み僕達を見詰めた。

「お前達は今日ギルド登録して、いきなり中級タグを手に入れたそうだな」

「はい、中級3等タグを発行して貰いました」

「そうか…」

 店主は無言で3振りの大剣をカウンターに置いた。

「これを振ってみろ」

 見た感じ切ると言うより叩き潰す剛剣みたいだ。

 持って見ると思ったより軽く感じた。

「これなら片手で振れる!みんな試してごらん」

 レイラとデイダも大剣を握った、勿論片手で。

「「本当!見た目より軽いね」」


「驚いた!お前達尋常で無い鍛え方してるな!!」

 大剣を引っ込め、今度は僕達の身長、一番背が高いレイラより遥かにデカイ200㎝はある超剣を取り出しカウンターに置いた。

 僕は前の剣の事もあり、気楽に持ってみた。

「これも思ったより軽いね、皆どう?」

「こん棒と同じくらい?」

 僕達3人軽く振ってみた。


「その超剣は不良在庫だ、一振り銀貨1枚…超剣はダンジョンでは扱い難いじゃろう、超剣をメインこの片手剣をサブに使え」

 出して来たのは片手剣の格好だが、ゴツイ鉈の様な片手剣だった。

「6振り全て不良在庫なので、剣帯も含め金貨1枚でどうじゃ?」

「「「はい!買います!」」」

 金貨1枚を差し出した。

 店主はお金を受け取りながら

「超剣は戦闘時以外その収納袋に入れて置け」

 そんな事言われても、こんなデッカイ超剣が袋に入るの?

 収納袋に押し込むと、全く抵抗無く収納出来た。

「良い買い物が出来ました、ありがとうございます」

 僕の言葉に、口角を少し上げる不器用な笑顔で「剣のメンテナンス研ぎ直しもやってやる、たまには顔を見せろ」

「「「はい!」」」

 僕達3人、店主に感謝のお辞儀して店を出た。

 不良在庫は嘘だと思う新人の僕達に破格の特価してくれたのだろう。


 過酷な村でひねくれた僕の心に疑惑が湧いた。

(大人がこんなに親切なはずが無い、好意だけのはずが無いどんな下心があるのだろう)

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