26話 能力を奪われたもの

物凄いスピードで向かってくる2人を一気に対処できなかった。

1人に魔法を向けても、もう一方の攻撃を受けてしまうからだ。

空間魔法でアイニコロスがその場から逃れることは出来るが、サリエラスが再度空間魔法を使った場合逃れることは出来ない。


クソッ


アイニコロスの取った行動は回復魔法を使い続けることだ。

魔法だけに集中することで、回復スピードを上げ、一時的に不死の状態をつくりあげたのだ。


痛みは感じるが仕方がない

相手が力尽きるのを待つまでだ



「俺ってこんなに足遅かったのか?」


空は小夜子達がいた場所へと向かっていった。

学校が見えてきた辺りで、ふと後ろに気配を感じた。

振り返るとそこには空間が開かれていた。


「空くん?」


空間から出てきたのは朝だった。


空は思いっきり空間に向かって走って行った。


「え!?ちょっと!」


空の頑張りも虚しく、空間に入ることが出来なかった。


「先を急ぐぞ」


「先って何?」



魔法を使うと跳ね返される可能性があった

やっぱり魔法を使わなくて正解だ


小夜子はガミナと目を合わせた。


1、2、3


ガンッ


小夜子とガミナが同時にアイニコロスの心臓目掛けて攻撃を入れた。


「そんなもので死ぬと思ったか?」


その場が凍りついた。

回復があまりにも早い。


「知っていると思うが、小夜子の呪いはこのに来た時既に解いている、勝ち目なんてないんだよ」



朝は記憶をなくしている

能力を持っていたことを忘れている

それに魔法を使っていた小夜子達のことまで忘れている

なのに俺のことは覚えている

何故だ


「空くんのこと忘れる訳ないじゃん!空くんの家の玄関まで入ったことあるし!」


ということは、おそらく能力を持っていると本人が気がつくまでの記憶は持っているということ

そして小夜子のことを知らないと言ったが、能力に気がつく前に1度会っている

顔を見ただけで名前は知らないと思うが


「どうしたの?」


「とりあえず、ついてきて」

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