18話 ガミナの過去

「ガミナを追放しろ」


磯野美いそのみガミナ。

最強の戦闘一族の1人。

彼女は15歳の時、村から追放された。



「この船に乗せろ」


「ガミナは悪いことなんて何もしていない」


「強すぎてどうにも出来ないんだ、悪い」


両親はガミナが10歳の時、任務中に亡くなった。

それからというもの「強くなる」という一心で毎日自主練続きの日々を送っていた。

そしていつの間にか大人も敵わない最強になっていたのだ。

そう、暴走しても誰にも止められない程の人間になってしまった。


「元気出やれよガミナ」


5年間面倒見てくれた親戚の最後の言葉を受け取り、ガミナは船に乗り、村に別れを告げた。



「お腹…空いた…」


当然お金もなく、持たせてもらった食料も底を尽き、ガミナは今にも倒れそうだった。


瓶があるぞ


ガミナはふらつく足で歩き、瓶を拾い、飲んだ。


バタッ


視界がぼやける

最強が戦闘でもない所で死ぬとはな


「大丈夫ですか…」


誰だこの女

弱そうな見た目してガミナに近づくとは…な…



朝起きるとあの日見た女の顔になっていた。

しかも自分の中にその女の魂があるのもわかった。

最初はコントロール出来ず、ガミナの魂はすぐ眠ってしまうが、1ヶ月もすればコントロール出来るようになった。

この体の持ち主は気がついていないようだ。


「ラーメンが食べたい」


ガミナはラーメンが食べたくなり、表に出た。

中では女の魂が眠っているのを感じる。


「百合と言ったか、ラーメンを1ヶ月も食べないなんてありえないな」


そう言ってラーメンを食べようと家を出た。



「!?」


ラーメンを食べた帰り道、見覚えのある人がいた。

忘れもしないたった1人の友人だ。


「ユカリ!?」


ガミナは駆け寄って声をかけた。


「もしかして…ガミナなの…」


ユカリは全身に切り傷があり、酷い怪我をしていた。


「あの村の…みんなは…アイニコロスさん…達に殺された」


「ガミナは…最強の戦闘…一族のたった1人の…生き残りだよ」


「ユカリもいるじゃん?」


ガミナの目には涙が浮かんでいた。


「なんとか言ってよユカリ…ユカリ…」

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