16話 杖を持って

「早速お手並み拝見だな」


サリエラスは勢いよく地面を踏み前に飛び出した。


「強化魔法か?やるな」


ガミナはサリエラスの拳を受け止めた。


「これはどうだ?」


この拳もガミナは受け止めた。


「強化魔法に風魔法を加え速さを出したようだな、だがそんなものではガミナは倒せんぞ」


「やるな」


2人は終始笑っているように見えた。


この人達やばいな

なんか楽しそうだし…


空は今いる位置から少し後ろに下がった。



「小夜子って人間が好きですよね?」


カンエラスは小夜子に向かって杖を構える。


「そうだけど?」


「なんでですか?」


「魔法なんて使わずとも頑張っているからかな。」


カンエラスは杖を喉元にそっと当てた。

それを見たアンエラスは嬉しそうに笑った。


「寝転んだ状態で杖を当てられるの何だかスリルあっていいな。」


そう言うと小夜子はポケットから杖を取り出した。


「私も持っている。杖くらい使えるぞ。」


小夜子は杖をアンエラスへと向けた。

まるで「魔法を使ったらアンエラスへと攻撃するぞ」と言うように。


「さてと、私から攻撃しますか。」


小夜子はそう言うとカンエラスに向かって杖を振り上げた。


「杖はダミーだよ。ばーか。」


そう言うと小夜子は拳をカンエラスの腹に入れた。


ガハッ


カンエラスが痛みを感じている隙に小夜子は立ち上がり、2人の前に立った。


「同時にかかってきな。」


「何だか昔を思い出すわね」


アンエラスはそう言うと笑みを浮かべた。


「魔法実習中に2人して私を集中狙いしたよね?あれは交わすのに一苦労だったな。」


「あの頃と同じ結末なんて嫌ですね」


そう言うとカンエラスは立ち上がった。


「始めようか、カンエラス」


「はい」


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