第9話 私は嫌われていない

「どうしたんだ?」


「今日このメンバーでBBQするんだけど良かったらどうかなって!最近遊んでないしさあ!」


「ごめん!ちょっと今立て込んでてさ、ごめんな!」


「そっか〜じゃあまた今度ね!」


「うん!またな!」


ガチャン


相変わらず俺の能力を知っている人と先生以外にはこんなに元気の良い対応になる

疲れるのにバカだな

ニセ元気を出しててもそのうち全員にバレるのに


「今の人達って同じクラスの人だったよね!」


リビングに入った途端、朝は目を輝かせた。


「そうだ、声でわかったのか?」


「もちろん!みんなと仲良くていいな〜!」


「良くないよ、俺の能力がそうしてるんだから」


空はそう言うと冷蔵庫を開けてリンゴジュースを取り出した。


「これでいいか?」


「うん!ありがとうね!」


「どういたしまして」


空がジュースを持ってくると、朝は何か言いたそうにしていた。


「どうした?」


「こんな事言うのは頭おかしいかもだけど、空くんって皆とは元気な感じで話してて、私の時とは違うなって、嫌ってるのかなって思って…」


「やっぱり気がつくか」


「うん、」


やっぱり私は嫌われているのか…

悲しいな、苦しいな、今すぐにでも泣きたい


「朝といる時の俺の方が素だから」


「え!?」


「まあだから嫌ってないって言うか、むしろ俺にとっては良いって言うか」


良かった〜!

私は空くんに嫌われてない!


「どうした?嬉しそうな顔して」


「嫌われてる訳じゃなくて良かったって思っただけだよ!」


「そうか」


そう言うと空は優しく笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る