第7話 人助けはいい事ばかりじゃない

結局進展なし

小夜子にも会えてないし

どうすればいいんだろ


ピンポーン


「海がでるー!」


「わかったよ」


ドタバタと音を立てながら海は玄関へと進んで行った。


ガチャ


扉を開けると見知らぬ女の人がいた。


「空くんいますか?」


「呼んできます!」


またドタバタと音を立てながらリビングへと入ってきた。


「お兄ちゃんのお客さん!女の人!」


「誰だ?」


空は玄関の方へ向かって欠伸をしながら歩いていった。


「朝か、休日なのにどうした?」


「実は能力のことで相談があってね、人助けの能力を消したいの、」



話は昨日の帰りへと遡る。

朝は空の用事の為1人で帰ることになった。

最近は頻繁に人助けの場面が来ず、ごく普通の生活を送っていた。

この日も何も起こらないと思っていた。


タッタッタッタッ

バタッ


「痛いよーーー」


泣いている女の子がいたので朝は咄嗟に近づいた。


「大丈夫?ヨシヨシ!」


その女の子は朝を見るともっと大きな声で泣き出した。


「えっ!?ど、どうしたら…」


「あー!子供泣かしたー!」


後ろを振り返るとランドセルを背負った男の子5人がこっちを指さし笑っていた。


「「「「「いーけないんだーいけないんだー」」」」」


「うるさいー!どっか行きなさい!」


やだ!

こんな状況は今までになかったじゃん!

なんで!


「何してるんだミカ」


怖そうな声が聞こえてきた。


「転んじゃったの」


「そうか、こっちへ来い」


恐る恐る振り返るとそこには大きい男の人が立っていた。

右耳にピアスが3つ、左手には金属バット。


「あ、どうも…」


「あ?」


「!?」


怖すぎるよこの人…

やばいよ…


「このお姉ちゃんはミカが泣いてたらヨシヨシしてくれたんだよ」


「は?ミカに触れんじゃねえよ」


そういうと男はギロっとキツい目で朝を睨んだ。


「すみませんでした!!!!」


そう言いながら朝はダッシュで家へと走っていった。

その時の速さは自己最高記録だったが、本人は気がついていない。

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