第5話 逢昼百合先生

小夜子は今どこにいるんだろう


空はそんなことを考えながら学校へと向かった。

その道中は相変わらず誰かしらに声をかけられる。


「空くんおはよう!」


振り返ると朝がいた。


「おはよう」


空と朝が2人で話しながら歩いている。

すると何故か周りがザワザワしてきた。

それもそのはず。

最近の空は学校への行き帰りは1人でいることが多くなったのに、急に転校生と一緒に歩いているのだから。


「なんか視線とか声が、」


朝は周りをチラチラ見ては居ずらそうにした。


「気にするな」


空はそう言うと朝の手を引いてさっさと歩いた。



空と朝の噂は2人が学校に到着する頃には広まっていた。

空は転校生に一目惚れしたらしい。

空は転校生と付き合ったらしい。

そんな噂が流れていた。


下駄箱に着いた時、朝は素早く靴を履き替えた。


「空くん先に行ってて!」


そう言うと職員室からたくさんのプリントを持って出てきた先生の所へと小走りで進んで行った。



それにしても俺と正反対の能力者って誰だろ

ていうかどうやって探せばいいんだよ

人を引き付けない能力の反対ってことは人を突き放す能力なのか?


「おはよう都辺くん…」


「おはようございます逢昼あひる先生」


逢昼あひる 百合ゆり先生は現代文の先生だ。

この優咲ゆうさき高校で1番若い先生だ。

確か年齢は25歳。


「苗字で呼ばないでください…」


相変わらず不思議な先生だ。

黒髪&黒ずくめの格好で、暗めな雰囲気を出している為、生徒から幽霊みたいと言われている。

よく見てみると二重で可愛らしい童顔だから、その暗さを何とかすれば彼氏が出来るのにと思ったりもする。


「すみません百合先生」


空はお辞儀して教室へと歩いていった。


教室について椅子に座った途端に空は、百合先生が自分の正反対の能力なのではないかと言う感情に陥った。

そして今日の授業終わりに確かめに行こうと決心した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る