第4話 頭の片隅に入れておこう
「入れよ」
空は朝を家の中へと案内した。
「お邪魔します!」
朝はそう挨拶をしてから靴を脱いだ。
「…」
「まさか誰もいない?」
朝は何処かソワソワしていた。
「そうだ」
そう答えた途端に朝はクルッと向きを変えて靴を履いた。
空が朝の腕を掴む。
「おい、どうした」
「だ、誰もいない家なんかに入れない!男の人と2人きりなんてむり!」
朝はそう言うと涙目になっていた。
「ごめんな、じゃあ玄関で話そう」
朝は戸惑っていた。
玄関で男の人と2人きりなら大丈夫なのかと。
「この話は他の誰かに聞かれたくないんだ」
空のその言葉に朝は顔を赤らめた。
もしかして告白!?
一目惚れしちゃったとか??
きゃー!
どうしよー!
「お前人助けしちゃうタイプだろ?」
「え?」
「その人助けはお前が持ってる能力のせいだ」
「え?」
「俺は人を引きつける能力を持っている」
「何言ってんの?」
「俺の能力を消す為に協力してほしい」
「ん?どういう事?」
朝は意味不明な言葉にただ呆然とその場に立ち尽くしてしまった。
「あ、別に協力してくれと頼まなくても良かったのか…能力持ちってことを伝えてほしいってだけだからな」
能力?
空くんって厨二病だったの?
え?
「とりあえずそういうことだから」
「え、何が!?」
朝はこの状況がまだ上手く読み込めていない。
「人助けの能力があるってことだ」
「私が人助けをするタイプなのはわかる…けど、それを能力だなんてね…」
「まあ頭の片隅に置いておいてくれって感じだと思うし、何かあったら俺に言ってくれってことだと思う」
「了解…」
嘘を言っているようには思えないから、とりあえず頭の片隅に入れとく…
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