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彼がいなくなると、どうやら困るらしい。
彼の後のことを、私が引き受けた。
ひとつ間違えば街がまるごと無くなってしまうような、そんなことばかりだった。彼の気持ちが。いたいほど。分かった。
私と会った、あのときも。
私と会ってからも。ずっと。ずっとずっと。こんな気持ちだったのかな。そう思うと、どうしようもなく、心が重たくなった。私は、彼のことを、知らなすぎた。
今日も、ひとり。
コリドーの自販機で、飲み物を買う。彼の財布。水。味はしない。というか、何を飲んでも、何を食べても、彼がいなければ、味は感じなかった。
こんなでも、きっと。彼の背負ってきたものに比べれば、ちっぽけなものだと思う。私は、彼の隣にふさわしくなかった。もっと彼のことを知るべきだった。
でも。
彼のように、倒れることはない。
今日も、コリドーの端のところに帰る。彼のことを考えながら。彼のことを、想いながら。宿に戻ったら、彼がいて。私に笑いかけてくれることを、なんとなく想像しながら。ありえないのにね。どうしても、考えてしまう。
海沿い。
綺麗な景色が広がっている。
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